君に恋して。【ヒプノシスマイク】

これからも。【碧棺左馬刻】 ページ36

『左馬刻、起きて！』
「っ、もう少し、寝かせろ...。」
寝起きの悪い俺を、いつものように幼馴染であるAが起こしに来たようだ。
でも、起きる気なんてない。
温かい布団が、俺を二度寝に誘い込む。
目を閉じると、意識が夢の中へと誘われていく。
『今日は卒業式なんだよ！？』
バッと布団を剥がれて、一気に意識が覚醒する。
「ったく...、まだ７時じゃねぇか...。」
枕元に置いてある目覚まし時計を見ると、俺が本来起きる時間より約４０分も早かった。
『だって、いつもみたいに支度が間に合わなくなったら大変でしょ。』
頬を膨らませて怒るA。
「わかったよ。起きればいいんだろ？」
このままでは、俺が折れるまでこのやりとりが続くんだろうと思い、渋々起き上がる。
『左馬刻が素直に起きるなんて。...もしかして熱でもあるの？』
何やら訝しげな目で見つめられた。
「熱なんかねぇよ。」
ただ、今日くらい起きてもいいか、なんて思っただけだ。
＿＿＿

『左馬刻、こっちこっち！』
外では雪が降っていて、支度が終わった俺は無理矢理引っ張り出された。
「ったく、転ぶんじゃねぇぞ。」
『大丈夫だよ！私を誰だと思ってるの！って、わぁっ！？』
転びかけたAを、咄嗟に自分の方へ引き寄せた。
「...危ねぇな。」
『あ、ありがとう。』
赤く染まる頬を見て、自分が今、無意識にAを抱きしめていることに気付いた。
「悪い。」
そう言って手を離す。
『ううん、大丈夫。それよりも、早く学校に行こう！』
笑うAに手を引かれ、慌ただしく登校したのだった。

＿＿＿

『卒業おめでとう！』
「おう、お前もおめでとう。」
卒業式も終わり、下校時間となった。
『これからも、宜しくね。』
眩しいほどの笑顔でそう言うAを見て気が付いた。
あぁ、そうか。
今までもこれからも、俺にとってはAが隣に居ることが当たり前なんだ。
卒業なんて、只の節目でしか無い。
「なぁ、A。」
『うん？』
「いつもありがとな。これからもずっと、俺の隣に居てくれ。」
『あはは！』
急に、Aが腹を抱えて笑い出した。
「は？なんか変なことでも言ったか？」
『だって、プロポーズみたいじゃん。』
言われてみれば、そう捉えることも出来るような気がする。
それもまぁ、悪くない。
『...これからもずっと、宜しくね。』
そう言って少し頬を染めるA。
「勿論だ。」
今まで、物心ついた時から側にいた。
これからもずっと、俺の隣にはAがいるんだろう。

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