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貴方side
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
週４で働いている喫茶店は、現代の機械が発展して何でもかんでも近未来化した世の中の流れに置いていかれたような、レトロで落ち着いた知る人ぞ知るお店。
店内はこじんまりとした暖かみのある内装で、淹れたてのコーヒーの香りが広がり、食欲をそそる。
ru「AさんAさん、ニュース見ましたか？最近話題の殺人事件。大きな組織が関わっているらしいですよ」
まだほんの少し子供っぽさが残る声がして、コーヒーを淹れていた手を止めて顔を上げる。
「あー…見た見た、怖いよね…早く解決するといいけど」
ru「僕夜一人で歩くの怖いです…」
そう言って腕をさする高校生にしてはかなり大きいラウールくん。
少し前にこの喫茶店に新しく入って来たラウールくんは、本人は人見知りだと言っていたものの、彼の持つ天真爛漫さで常連のお客様の心を鷲掴みにし、よく楽しそうに話しているのを見かける。
仕事を覚えるのも凄く早くて、ただでさえ勉強とバイトの両立は難しいのに、かなり偏差値の高い高校に行ってるんだとか。
ru「そういえば、この間教えてもらったラテアート練習してるんですけど、見てもらえたりとか…出来ますか…？」
「もちろん！私で良ければいくらでも見るよ」
ru「やった！Aさんのラテアートすっごい綺麗で憧れなんです」
ラウールくんと一緒に働いていて分かったことの一つに、彼は結構ストレートに気持ちを伝えてくれるところがある。
涼太も結構こっちが聞いていて恥ずかしくなるようなことをさらっと言ってきたりするが、それとはまた少し違うタイプで、母性本能をくすぐられる感じ。
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作者名：あさい。 | 作成日時：2023年2月22日 2時
