純恋愛のすゝめ【Yuto.T】 (ページ4)

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4話ページ4

「これからどうしよっか」

「ん？一緒に住むにあたって？」

「そうそう」

マグを片手にお土産として持参したクッキーをぼりぼり貪る髙橋。私が言えた事じゃないけれど居候の話持ち掛けておいて何も考えてなかったのか。

「じゃあまずルールを決めましょう」

「ルール？」

「うん。他人と共同生活する以上干渉されたくない事とか踏み込まれたくない事とかあるだろうし、髙橋が不満溜め込む前に最低ラインは決めておこうと思って」

「確かに一理ある」

「なんかある？具体的に。これされたら嫌だなあって事」

「……部屋漁られる？」

「いや、しないけどさ…。部屋は漁らない、ね」

共同生活前のルール決め。
ただでさえ気を遣わせてしまっているのだから、なるべく髙橋にはいつも通りの生活をして欲しいと考え、スマホのメモに一文字ずつ打ち込んでいく。他に何かあるだろうか。

「あとはそんなに長居しないと思うけど、家賃光熱費は折半。共同生活の基本」

「なんか手慣れてんなあ」

「下調べくらいしますう。とりあえずトイレでも洗濯でもお風呂でも髙橋優先で。ちょっと歩けばコインランドリーあるから私は最悪そこ使う」

「ふむ」

「他…………あ、あと会社ではこの事は口外無用ね。色々ややこしいので。出勤時間はずらすから」

「それは同意」

「これくらいかな……。他は？」

「うーん…。…金銭の貸し借りはしない…とか」

「金銭の貸し借り……」

まあ確かにそれも大事だな。下手すりゃ殺人にまで繋がるわけだし。

そんなこんなで割とすんなり決まった5箇条を二人で眺める。髙橋の性格上大丈夫だとは思うけど、これだけ決めておけば揉める事もないだろう。あとは、

「最後、これは一応だからここに入れなくていいんだけど」

「ん？まだある？」

「て……、手出ししないこと…………」

途端、終始にこやかだった彼の表情が固まって、私の顔にも熱が集中する。しまった。こうなる事は分かってたのになんで言ったのか。

「お前……。それ自分で言ってて恥ずかしくないの？」

「だっ……！だから一応って言ったし！」

「大体誰がお前のぺちゃ見て興奮すんだよ」

「はあ～？！なにそれセクハラじゃん！」

「新卒の頃から全然成長してないなとは思ってたけど…」

「最低最悪もう出て行く」

家を失って5日目、共同生活を始めて1日目。
初日から雲行きは怪しげです。