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「さて、ぱっと見ただけだとどこから覗けば良いのかわからないし、とりあえず散策してみるかぁ…」



立ち上がり、敷地内に片足を踏み入れた瞬間。



____私の体は、黒いナニカによって工場内へ引きずり込まれたのだった。







「………国木田!!」


ばたばたと慌ただしい音を立て、いつになく焦った様子の江戸川乱歩は探偵事務所に駆け込んだ。


「あ、はい。
どうかしましたか、乱歩さん」

Aを仕事に行かせた国木田は事務所で報告書をまとめていて、体はパソコンに向けたまま顔だけを彼に向けた。


「Aちゃんが向かった工場の写真!!
ある!?出して!!!」


「は、はい!!

これです」


乱歩の様子がおかしいことに気づいた国木田は傍にあったファイルから一枚の工場が映された写真を慌てて取り出した。


「………超推理!」



メガネを掛けた乱歩は写真をじっと見つめ、その数秒後に「まずいな」と呟いた。







「…………っ!?!?」



うわあ、なんて叫びたくても風圧で口を開くことすらも叶わない。


次の瞬間、私の体は床に叩きつけられて、全身には痛みが走った。



「いったぁ………。ていうか中入っちゃったよ」


打ち付けた体を摩りながらおもむろに視線を上げるとそこには一人の男がいた。



「あ、芥川……!」


「……久方ぶりだな、探偵社の小娘。
人虎が来ると思っていたが……まぁ良い。人質にする価値はあるだろう」



不敵に笑ったその男は黒い外套をはためかせると、手のような形状になった黒いモノで私の首根っこを掴み、持ち上げた。



「芥川、私を人質にするのは構わないけど、良い加減敦くんのことは諦めてよ」



「貴様の命令などに(やつがれ)が従うとでも思うか?

………抵抗するというなら暇を持て余している黒蜥蜴の相手になってもらおう」



「だったら遠慮なく、抵抗させてもらおうかな」



黒い手はそう言った私を離し、私はその場に下りる。



なるほどね、と小さく呟き辺りを見回す。


どうやら、この工場の動きが怪しい、なんて情報はデマだったみたいだ。
私たち探偵社を呼び出すため、ってことだろう。



要するに私たちは、敦くんを目的とするポートマフィアの餌にまんまと引っかかったわけだ。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 江戸川乱歩 , ミコ   
作品ジャンル:恋愛
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蜜柑 - 推しの乱歩さん...!カッコ良かったですね!見ててキュンっと来ました!素敵な小説有り難うございました!これからも小説を書くのなら、頑張って下さい! (2019年5月25日 9時) (レス) id: 8f1f373125 (このIDを非表示/違反報告)
マルフォイ - もう最後とか興奮泣きせずには読めないよ...乱歩君マジヤバたん。 (2019年5月24日 22時) (レス) id: bae9fea7d4 (このIDを非表示/違反報告)
太宰LOVE(プロフ) - 体育座りで泣いている!?あの芥川が!?可愛いすぎか。 (2017年6月30日 21時) (レス) id: d0ae358db4 (このIDを非表示/違反報告)
バレー馬鹿(プロフ) - とてもいい作品で涙がちょちょぎれました…!素晴らしいお話をありがとうございました! (2016年11月27日 22時) (レス) id: b3242b4568 (このIDを非表示/違反報告)
- お疲れ様です! (2016年9月3日 19時) (レス) id: c784d9244a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミコ | 作成日時:2016年5月21日 7時

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