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鮮やかな赤い瞳に見つめられて体が硬直する



じっと見つめられることは今までにも何度かあった



けれどこんなにも



こんなにも熱の籠った視線だっただろうか



「ッ…、」



声を出そうにも喉が張り付いたように上手く話せない



やめて



そんな目で見ないで



2人だけの空間にいるみたいで



早く目を逸らせと



後戻りが出来なくなるぞと脳が警鐘を鳴らしている



だけど目の前の二つの赤がそれを許してくれなくて



私という、主人公という存在が彼に囚われてしまう



ねぇ葛葉くん










_____期待しちゃってもいいの、?_____












「あー! 葛葉ぁ!」




形容しがたい空気を切り裂いた一つの声



可愛いあの子のものだと気づくのは容易なことで



それは私よりも長い時間過ごしてきた彼など言うまでもない



勢いよく振り向いた彼はあの子と楽しそうに会話をする



「ハッ!?なんでお前がここに…?!」



「お散歩してたら偶然(・・)このお店を見つけたの!」


「えー!なんか運命感じちゃう!(笑)」


「それよりぃ、葛葉はなんでここに?」



私を一瞥した後、私の存在なんか見えないような素振りで会話を続ける



「別に何でも良いだろ。てか、今こいつといるから」



私を優先してくれたという喜びと



あの子との会話がフラッシュバックして心臓が嫌な音を立てる



「なんで追い払うのー!ね、私も一緒しても良い?」



「はぁ? 良くねーよ!」



ドクンッ




2人の会話の内容がうまく理解できない



「いいじゃーん!私と主人公ちゃんすっごい仲良しだし!」


「人数が多い方が楽しいじゃん!」



「そういう話じゃねーから!」



ドクンッ




あの子は可愛らしく頬を膨らませて私を見る



「ね、良いよね?主人公ちゃん」






ドクンッ







可愛いって何だっけ



今私の前に立っているこの子はいったい誰?



私を見つめる二つの黒



その瞳の奥にはぐるぐるとどす黒い何かが渦巻いている



可愛らしい笑顔なんてそこには無い



向けられるのは狂気じみた笑顔と



お前が邪魔だという黒い感情



熱くもないのに汗が頬を伝う



彼女にのみ込まれてしまいそう



声が出せない



その時ふと母との会話が頭をよぎった

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作者名:右京 | 作成日時:2024年3月20日 22時

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