羨望【2j3j】 (ページ44)

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場所は変わり、彼と初めて来た喫茶店

お店に入るといつものように店主が温かく出迎えてくれる

私たちの足は自然とあの日座ったテーブルへと向かっていた

お互い向き合うように席に着き飲み物を頼むと静寂が支配する

いざ話そう、となると緊張して上手く話せなくなるのは人間の性なのだろうか

切り出したのは意外にも彼だった

「いつの間にあの人と仲良くなったの」

意図の読めない質問に頭をフル回転させる

あの人、というのが誰の事か分からず彼の顔を見ると

少し拗ねたような表情で店主をじとりと見ている

「もしかして…マスターの事、？」

どうやらビンゴのようだ

注文の際に軽く世間話をしたのを見て疑問に思ったのかな？

「仲良し…かは分からないけど、葛葉くんに連れてきてもらってから、気に入っちゃって」

「時間がある時とかは良く来るようになったの」

「…ふーん」

軽く返事をしたが、表情は依然晴れぬまま

そこへ私たちのやり取りが聞こえていたのか、話題の的であるマスターはくすくすと笑いながら此方にやってくる

「葛葉くんが連れてきてから主人公さんも常連さんになってくれてね」

「私と良くお話をしてくれるんだよ」

その言葉に更に眉間に皴を寄せた彼

それを見て今度は声を出して笑う

「ははッ！なぁに、彼女の話題はいつもくずｈ…」

「わぁぁあ？！？」

突然何を言い出すの？！

マスターの言葉を遮るように大きな声を出してしまった

聞こえてないよね？！

バッと葛葉くんを見ると私の大声に驚いた様子で目を見開いていた

どうやら確信犯だったようで

マスターはくすくすと笑いながら飲み物を置き、店の奥へと姿を消した

それと同時にまた静寂が場を支配する

「(絶対、今の聞こえてたよね、引いた…よね…)」

ここまで来たら、全力で白を切ろうと思い息を吸い込む

「な、なぁ、今のっｔ…」

「く、葛葉くん！このいちごみるく美味しいね！！！」

「ん…？あ、そうだな…？じゃなくて、今ｎ…」

「あ！見てあそこ！！ワンちゃんがいるよ！！」

「うん…？(笑)」

自分でも今何を言っているのか分からない

葛葉くんを見ると肩を震わせていた

「んふｗちょ、落ち着け(笑)」

あぁ恥ずかしい…！

誤魔化す様にもう一度カップに口をつける

ちらりと彼を盗み見るとパチッと目が合った

体温が上がる

だってその目があまりにも＿＿＿＿＿＿