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「お待たせ致しました。ごゆっくりどうぞ。」
お決まりの言葉を残し、注文の品を持ってきてくれた店員さんに二人でお礼を言ったのがほんの数秒前
私は今までにないほどの"萌え"というものを実感している
「(いちご…みるく…!!!)」
可愛い
普段はかっこいい王子様なんて呼ばれている彼にこんな可愛い一面があったなんて
いつものやつって言っていたし、きっととても好きなのよね
考えれば考えるほど可愛いという感情が溢れてくる
それでも私からしてみればかっこいい王子様というのには変わりないのだけれどね
じっと見つめていたのに居心地の悪さを感じたのか、きょときょとと目を動かした彼はその視線を手元のいちごみるくに落とし、ゆったりとした動作で一口飲んだ
かわいい…
「は…」
突然気の抜けた声を発したと思ったら徐々に顔が赤くなる彼
その様子に私は自分の口を勢いよく押さえた
「(口に出ちゃってた?!)」
無意識という物はとても恐ろしい
誤魔化す様に私も手元にあるいちごみるくを飲む
「おいしい…!」
元々甘いものは好きな私。久しぶりに飲んだからか、はたまた別の理由の影響か
これは予想以上に美味しく、一口、また一口と飲んでいく
夢中になって味を堪能していると目の前から笑いを堪えるような声が聞こえてくる
「んふッ…(笑)たかがいちごみるくにそんな目ぇキラキラさせる人初めて見た、(笑)」
恥ずかしくなった私は少しムッとしながら対抗するように
「私も、葛葉さんがいちごみるくの常連さんなんて驚きました」
言い返されたことに驚いたのか少し目を見開いた後、意地悪そうな笑みを浮かべて
「それでさっきめっちゃ見てたんスね、穴空くかと思いました」
なんていう物だから更に恥ずかしくなってしまった
その様子に満足したのかもう一度いちごみるくに口をつける彼
納得いかない私は思い切って少し笑みを浮かべ
「はい、いつもかっこいいのに可愛いなってつい見つめちゃいました」
なんて言ってみた
「んッ?!」
いきなりの言葉に驚いたのかごほごほと咽る姿に申し訳なさを感じる
「だ、大丈夫ですか?!」
急いで鞄からハンカチを取り出し彼に渡す
受け取った彼は口を押えながらありえないような物を見る目でこちらを見つめる
彼の耳がいちごみるく色になっているのには触れないほうがいいのかな、なんて
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作者名:右京 | 作成日時:2024年3月20日 22時