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--- You side
「なんか懐かしいですね」
正「ほんまやなぁ。あっ、ごめん、ついいつも食べてたやつ勝手に言うてもうた。」
「ふふ、大丈夫ですよ。なんも変わってないんで。」
正「よかった〜」
正門くんはほんまに優しくて、穏やかで、大学の時から1人ずば抜けて落ち着いた雰囲気で、時々ぽやぽやしてて。そういうところが好きやった。
「私、正門くんのこと好きやったんですよねぇ」
正「え、そうなん？！うわー、やとしたら勿体ないことしたわぁ」
「え？」
正「俺も好きやってん、Aちゃんのこと」
当時も薄々感じてはいたけど、いざ本人から聞くととんでもない破壊力やった。
「うそぉ、じゃあもっとアピールしとけばよかった」
正「でもあのまま俺と一緒になってたら、いま誠也くんとはどうなってたんやろな」
それは確かにそう。
正門くんに名前を出されて、いや出される前から末澤さんが頭に浮かんでしまってたのは事実で、やたらと心がザワザワする。
正「やっぱり恋のお悩みやな、今日のAちゃんは」
「そうなんですかね…」
お料理が運ばれてきてから改めて乾杯して、数年ぶりの2人での晩酌。
正門くんは私の気持ちをひとつひとつ聞き出しては丁寧にほどいてくれて、それに合わせて私のお酒のペースもどんどん早くなって。
これまでのこととか、今のこととか。色んなことをありのまま話した。
正門くんは何も言わずにただただ頷いて聞いてくれた。
いつもよりお酒のまわりが早くて、だんだんネジが外れて判断能力が鈍ってきた。
まだそんな自覚はあるけど、フワフワしてもうどうしようもない。
あと、しぬほど眠い。
正「Aちゃーん、寝ないでくださーい」
「んー、」
正「ちょっと(笑)」
そんな中で、しっかり聞こえてきた。
正「俺にしとけばいいのに」
何を言うてんの、この人は。え、本気なんかな。
嬉しいはずやのに、わたしの頭の中にいるのはやっぱり末澤さんで。
あぁ、知らん間にもう戻れへんとこまできてしまってるんかな。
ぼんやりとそう思ったところで、私はふっと意識を手放した。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年4月23日 9時
