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--- You side
「いないですよ(笑)」
末「ふーん(笑)」
あの時と同じ、ちょっとムカつく反応。
でも私の気持ちはあの時とは全く違う。
「馬鹿にしてます？(笑)」
末「してへんよ(笑)」
「うそや、絶対馬鹿にしてる」
末「してへんって。そっかーおらんのかー(笑)」
「めっちゃいじってくるやん、最悪や」
ふざけた感じも出しつつ、自分の気持ちを誤魔化すかのようにちょっとだけわざとらしく拗ねてみる。
ハハッと笑う末澤さん。
末「ごめんやん(笑) なぁ、こっち向いて？」
なんやと思ってパッと顔を見ると、その瞬間に重なる唇。
えっ、なにこれ…？どういうこと…？
理解が追いつかなくて固まってしまう。
ほんの短い時間やったけど、私には何十秒にも感じられた。
「えっ…と……」
末「ふっ(笑)」
末澤さんは余裕そうに笑って、ポケットから出した小さい紙を私のコーヒーの横にスっと置いて帰って行った。
いやいやいや、何今の！？
何が起こった！？
てかこの紙なんやろ？
こんな状況下でも妙に冷静な私は、末澤さんが置いていった紙を手に取る。
見てみると、少し癖のある字でアルファベットと数字の文字列が書かれてた。
すぐにピンときて、慌ててスマホを取り出してLINEでその文字列を検索すると、画面に表示された『末澤誠也』の文字。
聞くに聞けなかった連絡先を貰ってしまった。
ということは、わざわざこの紙を事前に書いて、タイミングを合わせて渡しに来たってこと？
でもなんでいきなりちゅーなんかしてくんの。意味わからん…
一歩間違えたらセクハラやん、なんて尖る思考とは裏腹に、まだバクバクうるさい心臓。
「あかん、戻らな」
コーヒーを持って紙をポケットに入れ、急ぎ気味で席に戻った。
末澤さんの方を見ると、ニヤニヤしながら見てくる。
「はぁ〜〜〜」
小「えっ、怖。なんかあった？」
「あ、いや、なんも」
小島くんにもさすがにこればっかりは言えん。
この後はもちろん仕事なんかほぼ進まなくて、なんとなく会社にいたくなくて定時きっかりにあがって帰宅した。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年4月23日 9時
