4話 ページ4
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それでは、と会釈をして駅の方へ向かう。早くこの場から去りたい。
すると腕を掴まれ、すっぽりと安室さんの腕の中に収まってしまった。
「なんですか。私、急いでるんです」
「ではなぜこのような場所に?」
あー、そういえば言ってなかったな。
来た理由なんて……覚えてない。けどそれっぽいのでいいか。この人だって彼女が仮にいるのに来てたんだし。
「人数合わせです。深い理由はありませんが」
「そうですか!それはよかった」
子犬のような笑顔を見せてくるが、私は落ちないぞ。そのベビーフェイスの割にはとんでもないパワーを持っているんだな。私は体術かなりできる方なのに抜け出せない。筋肉ゴリラめ。
それよりも今の時間帯、男女でこのような体制で話し続けるのは視線が痛い。場を弁えろと言われてるような気がしてならん。
「そろそろいいですか、離してください」
「……僕には聞かないんですか?」
「?なにを」
とぼけたふりをしたつもりはなかったが、この反応がよくなかったらしい。既に片腕を掴まれて彼に背中を預けている体制から、今度はバックハグされている体制になってしまった。
金髪のふわふわとした髪が首辺りにかかって煩わしい。
「合コンに行ったことですよ」
「あー…いや、別に。なんでもいいというか」
「僕は嫉妬したのに、貴方は嫉妬しないんですね」
「まぁ、好きというわけではないので」
その言葉を言った途端、更に腕の力が強まった。ちょ、苦しい。
腕を下にグイグイと押して離そうとするがびくともしない。マジでこの人ゴリラかなんかなのかな。
そろそろ手が出そう。
「そして、僕の口調が変わっても違和感をもたない」
「人には人の事情がありますから。
まあ、貴方は背負いすぎてますよね」
「…なんでそう思う」
呪霊がたくさんいるからですよ。
なんて言えるわけがない。初めて会った時もそうだけど、この人の肩には沢山の低級呪霊がいる。会う度祓っているがキリがないらしい。多分、大変な仕事をしているから負の感情が抑えられていないのだろう。
それでも、表に出さない姿は大人だ。
「なんとなく、だったら駄目ですか?
貴方の顔から隈が消えることはないでしょう。そう思ったまでです」
「貴方には敵いませんね。まるでなんでも見透かされているような」
私はなぜこんな奴を好きなったのか。貴方の気持ちがわからない。
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まみこ(プロフ) - 面白かったです〜一気読みしてしまった!!無理しないでほしいですけど是非続編出してほしい!! (2022年11月17日 15時) (レス) @page50 id: 14aa4362dc (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - すごくおもしろったです!!無理はしないで欲しいのですが、続編期待しちゃいます( ; ; )それくらい面白かったです!!!!!!ありがとうございました!!!!! (2022年8月29日 21時) (レス) @page50 id: 37531683ef (このIDを非表示/違反報告)
くせらや(プロフ) - Mizukiさん» コメントありがとうございます!!とっても嬉しいです😭✨最初から最後まで面白いと言っていただけるお話が書けてよかったです!!私もこの作品には愛着(笑)があるので、正直とても悩んでいます💭その時は読んでくださると光栄です🙏!! (2022年8月14日 13時) (レス) id: befea80465 (このIDを非表示/違反報告)
くせらや(プロフ) - 亜澄奏ーAsukaーさん» 2回もコメントありがとうございます!!😭スッキリとした完結ではなく、続きがあるような終わり方をしてみたかったのでそう言ってもらえて光栄です✨番外編はどうしようか悩んでます(笑)作った時には読んでくださると嬉しいです🥰 (2022年8月14日 13時) (レス) id: befea80465 (このIDを非表示/違反報告)
Mizuki(プロフ) - 完結おめでとうございます(^○^)このお話は初期から見ていましたが、凄く面白かったです!続きが読みたいなー…なんて、でも本当に面白かったです!これからも応援しております❣️ (2022年8月14日 0時) (レス) @page50 id: e4dddfb1f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くせらや | 作成日時:2022年5月20日 19時