テレパシー？ ページ31
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６年も経ったというのに、あの頃の思い出に縋るような事をしている私がおかしいのだろうか。
煩かったはずの喧騒もいつの間にかBGMと化して、どうしても思考を巡らせてしまう。
「A！」
イヤホンを忘れたことが幸い、突然後ろから私の名前を呼ぶ声に気付くことが出来て振り向くと肩で息をする友達。
一瞬期待したけどそんな事があるはずが無いよなと自嘲する。
「沙絵…」
「はぁ、追いつけた」と笑う沙絵に「どうしたの？」と問うと「Aが帰るなら私も帰るよ」と彼女は当たり前のような顔で言って歩き出す。
「懐かしかったね」
「本当、皆大人になったはずなのに高校に戻ったみたい」
心から楽しそうに笑う彼女はメッセージアプリの画面を開いていて、綻ぶ顔からするに旦那さんに連絡をしているようだ。
私が帰るなら、なんて言っておいて、本当は家族に早く会いたくて仕方なかったんじゃないの？
なんておちょくって見ようとも思ったけど、スマホを仕舞っても緩んだ頬のままの沙絵が可愛くてやめた。
「Aさ、やっぱ松村くんとなんかあったんだ？」
当時も現在も何も話した事が無かったのに、何かを感じ取ったのか突然口を開いた彼女に驚いた。
「え？」
「見てれば分かるって。Aの友達何年やってると思ってんの？」
舐めんなよ？とわざと治安の悪い言葉で拳を作って見せてくる沙絵に、思わず泣きそうになったけどぐっと我慢する。
何も言わなくてもお互いの心の中を読むように分かり合えているのは、嬉しいけど少し擽ったい。
「まあ、時効が来たら聞かせてよ」
無理に聞いてこない所も彼女らしい。
沙絵に話したく無いなんてこれっぽっちも思ってないけれど、口に出してしまってさらに考える羽目になるのは嫌だから今はまだ甘えさせてもらおう。
「うん、ありがと」
「アイスでチャラね」
悪い顔をした彼女が指さしたのはコンビニエンスストアで「美月ちゃんたちお家で待ってるんじゃないの？」と言うと「たまにはいいじゃん、こういうの久々でワクワクする」とまた楽しそうに足を早めた。
店内に入ると「いらっしゃいませ〜」と眠そうな店員さんの声とコンビニ特有の冷気が身体を包む。
高校時代は半分こ出来るものを買って2人で1つを食べていたのに、今日買ったのは当時なら絶対選ばなかったアイス。
「A贅沢！」
「大人になっちゃったって事ね」
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fm - すごく引き込まれる文章、物語の構成でした。言葉選びも素敵であっという間に一気読みしました。高校生の頃のあの、焦ったい青春を思い出すことができました。ありがとうございました。 (2022年2月6日 11時) (
レス) @page49 id: fa24b69ff2 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - yanchahime3014さん» 初めまして！青い鳥まで来てくださって嬉しいです、ありがとうございます。優しいコメントをくださる主様が来世こそは｢好きで悪いかぁ｣されますように。 (2020年6月29日 22時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
yanchahime3014(プロフ) - はじめまして。引き込まれて一気に読ませていただきました。そして、青い鳥のフォロー申請させていただきました。切なかったけど、幸せになってくれて本当に良かった。私も「好きで悪いかぁ」ってされたい人生でした。 (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7c22139847 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - しろくまさん» 始まりとエンドロールにもコメントを下さってありがとうございました！泣いてしまっただなんて…しかも2週もして下さったなんて…もっとしちゃって下さい！(厚かましい)今後も楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年6月3日 0時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - 杏奈さん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！おお！そのセリフがあってこそのこのお話だと思うので気付いて頂けて嬉しいです。もう少しですが是非お付き合い下さい！^^ (2020年6月3日 0時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモギ文庫 | 作成日時：2020年5月5日 13時
