Story3.*・゚ ページ4
薄目の部屋着を着、軽く化粧をし直す。
お風呂といえども、共同だからしっかりと美しさを保たないといけないためだ。
着替え、化粧ポーチ、タオル、自分のシャンプーなどをもつ。黒いリボンでボサボサの髪をひとつに結い上げ、自室のドアを開ける。
廊下を渡り、お風呂場へと向かった。
お風呂場のドアには、使用中の看板がかけられている。今はそれが裏返しになっていた。
…という事は、誰もいないみたいね。
カチャリとドアノブを回し、開ける。
脱衣所は思ったより狭く、着替えをおけるスペースも小さい。
その向こう側に奥が見えない仕切りで隠されたシャワーブースがある。
そこで私は気づいた。
誰かの服が、置いてある。
青いリボン、紺色のタキシードのような服、ダサいパジャマ、青いふわふわのタオル…。
「これ一体、誰の…」
私がふと、呟いた時。
後ろのシャワーブースの仕切りが開いた。
「「え?」」
✱
髪から滴る水が肩に、床に零れ落ち、でも今は、そんなことも気にならなかった。
俺は、混乱していた。
いや、待て。何故ここにあの女がいる。いつ起きたのかは知らないが、何故…?
そして、やっと俺は気づいた。
タオルは、バスタオルは、脱衣所の着替えのところにある。
つまり、今、俺は、嫌いな奴とはいえ、女の前で…。
「……し、失礼したわね」
「………」
声が、出なかった。
「わ、私は何も見ていないわよ。そういうことにしてちょうだい」
上ずった声で言うマリアを呆然と見つめる。
慌てて身を翻しバタバタと出ていく彼女を、俺は黙ってみていることしかできなかった。
………。
「…っ!」
今更恥ずかしさが体の中を駆け巡り、熱が出たかのように顔が熱くなる。
「…くっそ」
あいつの前で素っ裸とか…。
地獄だな、まるで。
✱
見てしまった。
「…っ!」
私の煩悩よ、消え去りなさいよ早く!
着替えとかを抱え、一目散に走って自室に戻る。
それでも頭の片隅に出てくるのは。
銀髪から滴る水、細い身体、それから、その下の…
「あ、れは違うあれは違う!」
頭をブンブン振って煩悩を消す。
私は自室に戻るなり持ち物を放り出してベッドに駆け込んだ。
枕に顔を思いっきり埋める。
「見てないわ、見てない。私は何も…!」
声に出る言葉とは裏腹に、顔はどんどん熱くなっていく。
脳内に出てくるのはあいつのあの姿ばかり。
「…あいつのあれ、思ったより大きかったわね」
本当、私は何を考えているのかしらね…。
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小鳥原咲也(プロフ) - 初めまして!!もう最高のアダマリをありがとうございます!ニヤニヤしながら見させてもらいました(((°o°C=(_ _;投稿これからも頑張って下さい! (2019年7月25日 14時) (レス) id: b353114a2c (このIDを非表示/違反報告)
眼鏡。(プロフ) - 凄い私得のアダマリ、ありがとうございます!更新、頑張って下さい!! (2018年1月14日 22時) (レス) id: 0e24f7fe4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉 | 作成日時:2018年1月14日 19時