天然じゃないからっ! ページ19
授業中に携帯を忍が持っていることを思い出した私は、授業終了と同時に教室を飛び出して忍に電話をかけようとした。
なのに・・・
実は私、忍の連絡先を知らないんだ。
若武とか他のメンバーに連絡してもいいけど、授業中かも知れないし。
出来ることなら、今日早めに授業が切り上げられた私がみんなを待つ間取りに行ってしまいたい。
どうしよう!?
みんなの携帯を授業中に鳴らすなんてありえないし、だからといって教室に行く勇気はもっと無いっ!
アタフタしていると、刻々と時間が過ぎて行く。
このままでは、忍の家に携帯を取りに行く時間ですら無くなってしまいそうだ。
どうにか切り抜けるために頭をフル回転させたけれど、何もいい案は浮かばなかった。
うう、発想力に乏しいって辛いよぉ・・・
ええい、やむを得ん、教室に乗り込もう!
私は腹をくくると、階段へ一歩を踏み出した。
出来るだけすれ違う人たちの顔を見ないようにしながら、足だけを前へ前へと動かす。
その時、頭上から声がかかった。
「アーヤ?何してんだ?」
顔を上げると、若武がこちらを覗き込むようにして見ている。
途端に、私の脳内は疑問符でいっぱいになった。
若武こそ、授業はどうしたのよ。
思わず訝しい表情をした私を見て、若武はクスッと笑う。
「もしかして、七鬼に会いに行くつもりだったのか?携帯なら、大丈夫だぜ。ここにある。」
そう言って、若武は自分の胸ポケットを親指で指した。
そこには、藤田さんの白い携帯電話!
ああ、良かった・・・
「でも、なんで若武が持ってるの?忍が分析するんじゃなかった?」
若武はなんでも無いと言ったように肩をすくめる。
「授業、最後の一コマ無いの忘れてたんだ。そいで暇だったもんで、今回のこと色々考えてたんだよ。そしたら、携帯ないことに気づいてさ。慌てて七鬼を呼び出して、鍵借りて、家行って、そいでゲットしてきた。」
さすがリーダー。
調子に乗りすぎることはあるけれど、やっぱりそういう部分に一番気が回るのは若武だよね。
ちょっと尊敬…してしまいそう。
「お前も七鬼も、天然だから忘れてるだろうって思ってさ。感謝しろよ。」
むっ。
私は、天然じゃないから!
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優月 - ももさん» ふと作品のことを思い出して3年ぶりに覗きに来ました。更新待っていただけるのは本当に嬉しいのですが、パスワードを忘れてしまって更新ができない状態です。申し訳ありません。パスワードを思い出して、もしまた時間を作ることができたら更新させて頂きます (2020年9月14日 22時) (レス) id: bf40ec70d3 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 更新楽しみにしています。 (2020年5月24日 8時) (レス) id: b61f3370af (このIDを非表示/違反報告)
優月 - りりさん» ありがとうございます!これから更新頑張りますね(^^) (2018年1月12日 22時) (レス) id: 3a77fdc37e (このIDを非表示/違反報告)
りり - 面白かったです!更新楽しみにしています。 (2018年1月11日 16時) (レス) id: 276ed20b22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*優月* | 作成日時:2017年12月15日 21時