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気分を晴らすためにベランダにでた。少し風が強かった。この風が、私の涙を消してくれればいいのに。いやな思いでも。全部、嘘だったらいいのに。だけど自分ではわかっていた。こんなのは、現実
回避で、弱い自分から逃げているんだ。
私、心配してほしかったんだ。ただ、みんなに甘えていたんだ。これじゃ、中学生のころの私と同じ
何も変わっていない。幼い心のままだ。
べランダの柵に腕をのせた。いつもなら汚いとか、洋服が汚れちゃうとかおもっってしまうけれど、今の自分にそんなのはどうでもよかった。
遠くには、ノイシュヴァンシュタイン城がみえた。周りには観光客がたむろっていると思う。あそこ
は人気だからな。この前小春といったときに、お城の高さにもおどろいたし、人の多さにも驚いた。
そういえば小春とも連絡とってないな。もうロバートしか目にないからね。
私の運命はどこから狂たんだろう。
「戻りたいよ。あの時に」
思わず口からこぼれた。何言ってるんだろう。私。
そう思っていると、後ろに気配がした。振り向くと、そこには、きょとんとした顔の若武が立っていた。改めてみると、背はもうチビとはいわれないくらいにのびていた。顔もそんなに悪くないから、モテるだろう。
「いつに戻りたいんだ。さっきからここにいたのに気づかないんだから。」
まったくとため息を漏らす若武の顔は中学の時とあまり変わっていなかった。
「俺もさ、時々思うよ。あの時に戻れたらなとか。この前のサッカーの試合だって、準備運動少しお
こたったら、ゴールを決めるってとこで、足が動かなくなった。まぁ足がつっただけ。俺、足つり
やすいんだよ。そのあと、コーチにクッソ怒られた。
アーヤが考えているのはもっと深刻な問題なんだろうけど」
そう言いながら、近くにあった、洋風のオシャレなベンチに腰を掛けた。私も隣に座り、うつむいていると、
「なんか言ってくんないと。わかんないよ。」
そんなの私も分かっている。誰かに相談しないと、自分が壊れちゃうかもしれない。一人で抱え込む
問題なんかじゃないことも。
だけど、いえない。口が動かない。ごめんね、若武。こんな私に寄り添ってくれて。
「俺にいえないんなら、黒木でも上杉でも、七鬼でも相談しなよ。あっ美門でもいいかもな」
美門って言葉に思わず体を自分でもわかるぐらいに、ビックとさせた。だけど、若武は気づかなかったみたいで、話を続ける。
「あいつは_____
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とうもろこし(プロフ) - どういうことでしょうか? (2022年12月11日 16時) (レス) @page15 id: 04ac0679ce (このIDを非表示/違反報告)
青色リトマス紙(プロフ) - ニニさん» 少し読みにくいんですが手紙の左端を縦読みすると分かります。多分。それでも分からなかったらコメントおねがいします。 (2021年7月27日 10時) (レス) id: 342a2f702b (このIDを非表示/違反報告)
ニニ - 意味こわ教えて下さい (2021年7月25日 19時) (レス) id: 1404066f71 (このIDを非表示/違反報告)
なになに(プロフ) - なるほど〜!分かりました!ありがとうございます! (2021年4月26日 21時) (レス) id: 637d5c346c (このIDを非表示/違反報告)
リトマスズ - なになにさん» 手紙を縦読みすると、、、少しわかりにくいですが コメントありがとうございます。 (2021年4月26日 20時) (レス) id: bf6c487810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトマスズ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/kznituite/
作成日時:2021年1月2日 16時