焼却を望む画家 (ページ18)

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十七話ページ18

騒がしい教室の扉を壊す勢いで入って来たのは、問題児クラスの担任になったというナベリウス＝カルエゴ卿。彼の事は旦那様からよく聞いていた。尊敬出来る素晴らしい悪魔(教師)だと。
カルエゴ卿の指示で移動した先は学校裏の高台。これから始めるのはクラス決め後の初授業にして階位を決定するための飛行試験。私は最後尾でクラスメイトが翼を出して飛んでいくのを眺める。最後に特待生をカルエゴ卿が蹴り落とし、こちらを振り返る。

「さて、貴様は突然変異で生まれつき羽が無いのだったな」

『はい』

「本来ならばバビルスは実習試験等において、参加不可能となった生徒には後日改めて試験を受けるか、補習を受けることになっている。だが、この飛行試験においては再試験及び補習は無く、何らかの理由で参加出来なかった者は例外無く測定不能としている。何故だか分かるか？」

『この試験自体が競走という順位を競い合う試験だからですか』

「その通りだ。故に、再試験も補習も不可能。よって貴様は測定不能となる訳だが、なにか異論があるなら聞こう」

『いえ、異論などございません』

＊＊＊

どこぞの阿呆理事長とその孫のせいで最悪なクラスの担任を受け持つ事になってしまった。しかし、なってしまったものはどうしようもない。あの理事長は変更など決してしてはくれないだろうからな。
このクラスに押し込められた問題児共はどいつもこいつも入学早々、ありとあらゆる事件を数知れず起こしてきたまさに問題児共。唯一まともそうであった入学首席のアスモデウスですら、入学式の一件以降はイルマの奴に感化されて立派な問題児だ。

しかし、今俺の目の前にいるピクトゥーラは他の問題児共と同じかと聞かれれば頭を悩ます。これまでに起こした問題行動は入学式と使い魔召喚の儀の無断欠席及び校舎への落書き。だがそんな事は他の生徒達も遺憾ながら日常的にやっているし、もっと酷いものもある。外見は至って普通……いや、大分小さいな。まぁ、それは置いておく。他にあげる箇所があるとすれば、目元を覆う認識阻害の面布だがちゃんと許可はとっていたので問題は無い。
だとすると、ますます疑問に思う。どこからどう見ても至って普通(・・)の悪魔であるコイツが何故問題児クラスに振り分けられたのかを。

『異論はございませんが、遺憾ではあります』

「は？」