焼却を望む画家 (ページ14)

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十三話ページ14

虹龍(レインボードラゴン)。それは、魔界でも滅多に見ることは叶わないとされるドラゴンの上位中の上位種。白や黒、青や赤等のドラゴンは数多く確認されており、基本的にはどのドラゴンも巨大なトカゲに羽が生えたような姿をしている。しかし、虹龍は巨大な手足の生えた蛇のような姿をして、羽もなしに宙を舞うように飛べる様は、進化が必要ないほど強いのだと証明をしている。

まさか虹龍を召喚出来る悪魔が一年生の中にいるなんてと驚きながら、モモノキはルティフィに評価A++をつける。そして、虹龍のことを聞いたら壁をぶち破ってでも飛んできそうな空想生物学担当の教師が来る前に帰りなさい、と助言をした。

『では、失礼いたします。先生、さようなら』

「えぇ、さようなら。気をつけて帰ってください」

ルティフィの帰宅方法が虹龍に乗って帰ることが決まった日であった。

＊＊＊

今日は教材が配布される日。なにやら前方が騒がしいのを見ないふりして、ルティフィは配布室に入る。順番に教材を貰い、部屋の外に出るとダンボールに回転しながら頭から突っ込んだ女の子と、話しかける男の子、それを止めようとする男の子が騒いでいたので、ルティフィは全力で距離をとる。

話しかけていた男の子がサリバンの孫だということは知っていたが、あの騒ぎの中、わざわざ話しかけに行くほどの興味は無い。距離をとっているうちに、彼ら三人組、のちに入間軍と呼ばれる彼らは教師によって追い出された。

「……ふぅ、今年の新入生は賑やかだなぁ。そうは思わない？イフリート・ジン・ルティフィさん」

『っ！！』

三人がどこかに追い出されたので静かなうちに通ろうとしたら、学校では隠している呼び方をされて目の前の教師を警戒する。彼女を本名で呼んだ教師は魔歴史学担当及び教師統括のダンタリオン・ダリ。このバビルスにおいて理事長のサリバン以外にただ一人、ルティフィとエイトの関係を知る教師である。

『………なぜ、その名を』

「僕は教師統括だからね。事前に理事長から聞いていたんだ。あぁ、安心して。このバビルスにおいて君たちのことを知っているのは理事長と僕だけだから。君の夫であるイフリート先生が話した訳でもないよ」

『……そうですか』

「にしても驚いたなぁ。イフリート先生が結婚してた事もそうだけど、ちゃんとした意思疎通が出来る元祖返りがいたことが驚きだよ」

『……』

「だから、確かめさせてもらうよ」