焼却を望む画家 (ページ13)

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十二話ページ13

新一年生達の初登校日、この日は伝統行事として使い魔召喚の儀が行われる。名簿順で分けられたグループ順に行われ、ルティフィが振り分けられたグループは最後から少し前。それまでの間は絵を描くことにした。場所は運動場、用意するのはライン引き。
運動場で舞うように白線を引いて描くのは、登校中に空から見るバビルスの風景画。完成したらどんな生徒でも壮大さに圧倒されるだろう。

しかし、それは叶わない。風魔法によって白い粉が全て吹き飛ばされてしまったから。風魔法を行使したのは魔術基礎学を担当しているモラクス・モモノキ。使い魔召喚の順番になったというのに一向に現れないルティフィに痺れを切らして連れに来たのだ。

「ピクトゥーラさん！時間になっても来ないで何をしているのかと思えば運動場で絵を描いているなんて前代未聞ですよ！？」

『……もう時間だったのですか？』

「えぇ。貴方がいなかったので他の生徒を優先し、既に全員終わっています。後は貴方だけですよ」

『それは……申し訳ございません』

「全く、次から気を付けてください。さ、講堂に行きますよ」

『はい』

チラチラと着いて来てることを確認するモモノキに連れられて講堂に行くと、そこには初めての召喚で浮かれきった生徒がまだ沢山いた。そのど真ん中を突っ切って魔法陣と蝋燭がある所まで来る。受け取った半用紙に血で丸を描き、半用紙を蝋燭にくべる。その瞬間、魔法陣が眩い光を放ち、煙と共に爆発音が響き渡る。

「ピクトゥーラさん！無事で……！？！？」

モモノキは咄嗟にルティフィを爆発から庇おうとするが、吹き出る煙によって遮られた。やがて充満していた煙が消え去り、無事かどうか声をかけるが、目の前の光景に言葉を失う。講堂に残っていた生徒たちも同様であった。

煙が消えた向こう側、そこには長く何重にもとどろを巻く巨体を空に浮かべる蛇に似た何かがいた。鰐のような大きな口から飛び出る反り立った二本の牙、胴体は硬い虹色の鱗に覆われ、左右二本づつの手前が大きな力強い白銀の角、細い手足はそれぞれ三本の鋭い爪、背中から尾の先まで生える虹色の鬣、口の辺りから伸びてる長い二本の髭。そして、蛇のような何かを形作るそれら全てが虹色を纏って煌めく。
極めつけがその瞳だ。この世のありとあらゆる色の宝石を詰め込んだ万華鏡のように吸い込まれる虹色の瞳は、じっと漆黒に浮かぶ純白を見つめる。

「まさか……虹龍(レインボードラゴン)」