君をめちゃくちゃにした過ぎて辛い。【太宰治】

０９　お家 ページ10

殿堂入り有難うございます！

お星様赤になるの早くて吃驚です。楽しんで書かせて頂きますね♪

――――


「A、此方へ来給え」

『やだ。今いい処なの』


読書に熱中しているとスッと手の中から文字の羅列が消えた。

代わりに治が私の腕の中に入って腰に手を回す。

むー･･･ヒロインがヒーローに一途で一途で可愛すぎるシーンだったのに！！


腰に抱きついて私の膝に顔を埋める治。
ふわふわヘアをする事もなく指に巻き付けて弄っていると

「ねぇ結婚しよう？」

『ん？』

突拍子もなく吐かれた言葉は私の周りをクルクル回った。


「Aを完全なる自分の妻にして独り占めしたい」

『独り占めしてるじゃない。』

「足りない」


結婚ってさ、なんかもっとロマンチックなイメージだったんだけど･･･

そんなサラリというモノですかい？


其れとも何？治の口説き文句？

女中さんと町行く女性口説きまくってたの知ってるよ？


「だってAが周りの男に目移りしたら厭だもん」

『駄々っ子かよ』


髪を弄っていた手で治の頭を撫でていると何だか撫でている此方迄心地良い気分になって来る。

すると突然治の顔が上がって手を引くと、治は手首を掴んで自分の頬に付けた。


「あまり私を舐めると、後で痛い目見るよ？」

『はいそーですね。』


後々考えると、此処で止めておくべきだったんだよ。

でも、治が駄々っ子みたいで可愛くて堪らなくて。



「結婚して呉れないかい？」

『治がもっと大人になったらね』


何て口を突いて出た言葉は


「へー･･･」


ふらりと立ち上がった治を見て、やっと･･･冗談が通じていない事が判った。




膝の裏に細い腕が入って方にも腕を感じるとフッと抱きかかえ上げられて

『な、にをっん』

口を塞がれて頭がパンクした私は目を見開くしかなかった。



「私が大人だって事、証明してあげようか？」


体が上下に揺れて寝室に向かっているのが厭でも判る。

厭だじゃないけど、心の準備が･･･。

寧ろウェルカムなんだけど･･･下着が･･･。


とか思っていたんだけど


寝室に着くと勢い良く寝台に寝せられて上に乗っかった治。

肘を私の頭の横に附いて近距離で見つめられて心臓が痛い位鳴る。


互いの吐く息が顔に掛かって、触れそうで触れない唇がもどかしい。



わき目もふらずに私を見詰める治は瞬きする回数すら少なく感じる。

そして、軽く目を瞑った治が本当にゆっくりと近づいてきて目を瞑るとチュッとリップ音が響いた。

「物欲しそうな顔しちゃって」

そして服の釦に手を掛けた。


『待っておさ』

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