０３ 私ね ページ4
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流石に治には判っちゃうか。
まぁでも、財布や携帯でさえ持っていないと云うのは不自然か。
「無理にとは云わ」
『私ね、家も家族も友達も･･･全部、失ったの』
心境を悟られない様に･･･いや、自分の中で軽く口に出そうと思って私は
語尾を態と上げて明るく見せた。
『全部自分から捨てたの。全部･･･もう私には、何にも無いの。』
治は眉一つ動かさずじっと私を見つめる。
顔色も目の色も･･･何も買えずにただ此方をずっと見つめる。
思わず合わせられる目から視線を背けた。
治と目を合わせていると自分の心の中を読み取られるような気がしてならない。
『ふふ』
目頭が熱くなって居るのを感じて泣くな泣くな。泣きたくない。お願いだから我慢してって心の中で願った。
『もぅ･･･何にも、無いの』
自分の口から出る言葉は重くて冷たくて、･･･寂しい。
そう感じた。
「そっか」
外では雨が降り出した。
こんな気持ち雨に洗い流されてしまえばいいと思った。
けれど思いなんて雨何かで洗い流せるものじゃない。
寂しくて苦しい。
「楽になりなよ」
そう、声が聞こえたような気がした。
「A。」
その声は実際に聞こえていた。
私の隣に来た治が私の両頬に手を添えて目を合わせると
「楽になりなよ」
そういって腕を広げた。
『･･･治』
広げられた腕に飛び込むと治の甘くて優しい香りが私を包む。
胸に顔を埋めるとトクントクンと鼓動が聞こえる。
治の腕が私の肩と背中に回って抱き締められると、抱擁感があると云うのはこういうのを云うのかなと思った。
人の温かさに、柔らかい体に久し振りに触れた。
「泣き給え。少しは楽になるだろう」
優しい声が視界を尚ぼやけさせる。
ポンッと頭に手が乗せられた衝撃でぽろりと涙が零れ落ちて
『うっ･･･ふっぇ』
一筋伝うと堰を切った様に溢れ出して止まらくなってしまった。
二十二歳高瀬A。
物心がついてから人前で泣いたのは、これが初めてである。
その後私は治の腕の中で子供の様に泣いて泣いて泣いた。
だから泣き止んだ時、治の服は涙でビショビショだった。
「落ち着いたかい？」
『ごめ、ありがとう。』
「感謝されたのは久し振りだよ」
えー治は優しいのに皆は判ってないのかな。まぁ、さぼり癖もあるけど。
って一寸待て、私の幼馴染は一体どんな生活をしているんだ。
「それでねぇ？」
待って、厭な予感
――――
皆様、お忘れですか？
この話はシリアスでなく甘〜いお話ですよ？
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琴 - 太宰さん最推しでもーう頭パンクしそう (9月17日 12時) (
レス) @page18 id: b1f1cb87b1 (このIDを非表示/違反報告)
もやし - 最高です………………えってぃちゅき…………… (2023年1月15日 16時) (レス) @page22 id: ebeddd0fcc (このIDを非表示/違反報告)
かみん - 太宰さん大好きなので、とっても嬉しいです！お話もとても面白く、引き込まれました！ (2022年8月27日 16時) (レス) @page13 id: 3d19007a19 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬ゆうめ(プロフ) - keyさん» keyさんありがとうございます！コメント頂けて嬉しいです♪ (2021年11月4日 23時) (レス) id: 4a5482ed8b (このIDを非表示/違反報告)
月瀬ゆうめ(プロフ) - かぷあさん» ありがとうございます！キュンだなんて！太宰さんへの愛が深まったって事ですね？！笑 楽しんで頂けて嬉しいです♪ (2021年11月4日 23時) (レス) id: 4a5482ed8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月瀬ゆうめ
| 作成日時：2019年2月22日 21時
