幹部 ページ42
「A、首領がお呼びだ。幹部も集まるらしい」
次の日、出勤するやいなや中也さんが飛び込んできた。
「はい、
と返事をしてエレベーターへ乗り込む。
「何事でしょうか……」
首領のいらっしゃるのは最上階。
「
「ええ!?」
平和な日々はつかの間。死の鼠の家の頭目を捕まえたが始末をどうするかという幹部会が昨日開かれたところで、なんと始末を申し出た五代幹部のうちの一人のA様が亡くなられたというのだ。
「やあ、笹原くん」
首領は細い腕で頬杖をついたままAを迎え入れた。紅葉幹部も椅子に座っていた。
「こんばんは」
「単刀直入に言おう。この前の3社異能力戦争の件、それから今回の件もあって、君を幹部へ昇進させようと思っているんだが、もちろん異論はないよね?」
「身に余る職務……私には勿体無いと思います」
「まあ、聞くまでもなくこれは幹部会での決定事項だ。君がなんと言おうと今日から幹部として仕事をしてもらおうと思っているよ」
それ聞いた意味ないじゃないですかという反論は心の中にしまっておく。梶井さんもこのことは予想していたのかもしれない。
幹部二人は同じ顔をしていた。娘を見る親のような、穏やかな目だった。
「頑張ります」
Aがそう答えると、早速紅葉さんから仕事内容の説明が始まった。
内容は主にAが管理していた賭け事の場、それから夜警の管理というAにしては体力を使いそうな仕事だった。
夜警はまだいいとしても、ゴリゴリムキムキのおじさまたち相手にAで大丈夫なのだろうか。半分の不安と半分の楽しみがAの中にある。だって憧れていた幹部なのだから。
「とまぁ、だいたいこんな感じじゃ。わからぬことがあればいつでも聞くが良いぞ」
紅葉さんは優雅に微笑んだ。
それから、Aもわしと並ぶとは。大きうなったのう、と着物の裾の向こうで優雅に笑った。
「ありがとうございます。では、早速行って参ります」
Aは駆け出すようにして首領の部屋を後にした。
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さなえ@Love伊織(プロフ) - 百合姫さん» ありがとうございます。行間、ですね。参考になります!もう少し開けてみようと思いました。なにより読んでくださってありがとうございました! (2017年5月24日 0時) (レス) id: c77dc7fe4b (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - たいです。勿論、高評価させて頂きました。長文、三つ前のコメントの誤字、失礼致しました。最後になりますが、さなえ@Love伊織様。イベントに参加して頂き有難う御座いました。此れからも、他の作品の更新など頑張って下さい。応援しています。 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - ありませんが、横書きの場合文が詰まっていると辿るのが少し難しいと感じたので。と、云っても此の書き方で行く、とさなえ@Love伊織様が決めていらっしゃるのでしたら、其れでも全く問題無いと思います。小説の書き方に沿った、素晴らしい物でした。私も見習い (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 文の間に改行を設けてはいかがでしょうか。一話を一つに纏める、ということでしたら文字数の影響もあるとは思いますが、見たところ其のような形式で書かれていないようなので、余裕を持って間を空けても良いと思います。勿論、書籍の様な縦書きの物なら空白は必要 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 素晴らしいと感じました。占いツクールではあまり見ない、硬い?文章ではないありましたが其れも魅力の一つだと思います。話の流れ、文の構成共に普段から小説を読み慣れている方には、よく合う物だと感じました。僭越ながら、アドバイスをさせて頂くと台詞と (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さなえ@Love伊織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sanaeEs/
作成日時:2016年12月21日 8時