ゝ ページ38
「ええー、自分が外に出る仕事ばかりだからって?」
A思わず前のめりになった。
「私は上司といろいろ外の仕事に行ける方が羨ましいなと思ってるけど」
「二人で部屋で仕事してみたいです。珈琲淹れたりして」
「留守番してて報告書作成だなんてつまらないわよ」
「それでもいいんです!」
「それ"でも"って何? これでも一応准幹部なんだけど」
Aはそこをツッコんでおいた。
「失礼しました」
「あらちょっと待って、あの子誰?」
Aはぼんやりと見ていた先に芥川くんに声をかけている女性を見つけた。道の向こう。クリーニング店から出てきた彼女。思わず窓を開けた。歳はAよりたぶん若い。髪は黒く長く、切れ長の目。マフィアでも美女と名高い我々に勝るとも劣らない。空気と一緒に夜の街の音が入ってくる。
「ええっ、誰ですか」
樋口さんも驚いたように身を乗り出した。
「久しぶりだな。帰るぞ」
確かにAにはその会話が聞こえた。
「嘘……」
Aは手を口元へやった。
「あの二人、何か喋っていましたね」
「ええ、芥川くんは『久しぶりだな。帰るぞ』って言ってたわ。女の方は何も言わなかったけど」
「なんですって!?」
樋口さんは今度は怒って毛を逆立てた猫のようにこちらへ身を乗り出した。美人が台なしだ。
「まさか芥川くん……」
Aも驚きだが、この際樋口さんを少しからかってやろうと思った。
「え……えっ……」
そしてショックで身体が固まってしまった樋口さんを、逆にAが家まで送り届けることになる。
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さなえ@Love伊織(プロフ) - 百合姫さん» ありがとうございます。行間、ですね。参考になります!もう少し開けてみようと思いました。なにより読んでくださってありがとうございました! (2017年5月24日 0時) (レス) id: c77dc7fe4b (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - たいです。勿論、高評価させて頂きました。長文、三つ前のコメントの誤字、失礼致しました。最後になりますが、さなえ@Love伊織様。イベントに参加して頂き有難う御座いました。此れからも、他の作品の更新など頑張って下さい。応援しています。 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - ありませんが、横書きの場合文が詰まっていると辿るのが少し難しいと感じたので。と、云っても此の書き方で行く、とさなえ@Love伊織様が決めていらっしゃるのでしたら、其れでも全く問題無いと思います。小説の書き方に沿った、素晴らしい物でした。私も見習い (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 文の間に改行を設けてはいかがでしょうか。一話を一つに纏める、ということでしたら文字数の影響もあるとは思いますが、見たところ其のような形式で書かれていないようなので、余裕を持って間を空けても良いと思います。勿論、書籍の様な縦書きの物なら空白は必要 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 素晴らしいと感じました。占いツクールではあまり見ない、硬い?文章ではないありましたが其れも魅力の一つだと思います。話の流れ、文の構成共に普段から小説を読み慣れている方には、よく合う物だと感じました。僭越ながら、アドバイスをさせて頂くと台詞と (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さなえ@Love伊織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sanaeEs/
作成日時:2016年12月21日 8時