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   ゝ    ページ36

「それなら、あの日、役職が関係ないこの場に、どうして私を連れだしたのですか?」

―――この場合一手で相手を崩すにはどうしたらいい?――
懐かしい声。冷たくて、でもどこか優しい手。

「……は」
Aの上司でない中也さんなんてどんなものか想像がつかないのだ。

――それなら、あの日、役職が関係ないこの場に、どうして私を連れだしたのですか――

「それは……手前が20までだめですとか言いつつ飲みたそうにしてたから! だな!!」
中也さんはなぜか怒ったようにそう言った。
「わ、ごまかした」
と梶井さんは楽しそうに笑った。
「そうですかねえ」

「ええ、ていうかAちゃん、飲まなかったの?」
「え? 梶井さんはそれより前に飲んでたんですか?」
「え? そうだけど?」
梶井さんは隣で怪訝そうな顔をした。それがなんだという顔だ。
「……」

Aは父親の言いつけを守って20歳になるその日まで飲まないでいたのに。
「笹原君は君の飲み始めた歳のころは学校に通っていたではないですか」
今度は広津さんが口をはさんだ。
「まあ仕事もすれば権利もあるよねえ〜」
梶井さんは歌うようにそう言った。カランと氷とグラスが快い音を立てた。

「学生が飲むわけにもいかないし? Aちゃんのお父さんの言いつけは正しかったのかな?僕もね、Aちゃんの前では飲むなって言われてたんだよ」
「そうだったんですか」
Aは飲みながら聞いた。それは知らなかった。梶井さんはお酒が入るとしゃべるのが速くなる。

「それなのにさあ、幹部殿はAちゃんに酒を教えちゃったわけなんですよね」
「俺が悪者かよ」
「僕のかわいい教え子に悪いこと教えちゃいましたねえ」
Aを間に挟んで、上司と師匠がしゃべっている。

「はぁ? 悪いかよ」
「責任とってくださいよ」
「わあってるよ」

「だって。Aちゃん、責任とるって」
梶井さんがにまにましながらAを見た。広津さんはあきれた様子だった。
「はー?」

テーブルが揺れた。中也さんの拳が落ちた振動だ。
「責任とるって手前」
「自分で言ったんでしょう」
梶井さんは勝ち誇ったように笑った。教え子をネタにするのはやめてほしい。
「うん? 何を勘違いされてるんです?」

「梶井手前、表出たらぶっ飛ばす!!」
「やだなあ最初に仕掛けたのAちゃんなのに」
「中也さん、私もお手伝いします!」

「え、Aちゃんそっちの味方なの??」

彼女??→←上司



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設定タグ:文スト , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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さなえ@Love伊織(プロフ) - 百合姫さん» ありがとうございます。行間、ですね。参考になります!もう少し開けてみようと思いました。なにより読んでくださってありがとうございました! (2017年5月24日 0時) (レス) id: c77dc7fe4b (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - たいです。勿論、高評価させて頂きました。長文、三つ前のコメントの誤字、失礼致しました。最後になりますが、さなえ@Love伊織様。イベントに参加して頂き有難う御座いました。此れからも、他の作品の更新など頑張って下さい。応援しています。 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - ありませんが、横書きの場合文が詰まっていると辿るのが少し難しいと感じたので。と、云っても此の書き方で行く、とさなえ@Love伊織様が決めていらっしゃるのでしたら、其れでも全く問題無いと思います。小説の書き方に沿った、素晴らしい物でした。私も見習い (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 文の間に改行を設けてはいかがでしょうか。一話を一つに纏める、ということでしたら文字数の影響もあるとは思いますが、見たところ其のような形式で書かれていないようなので、余裕を持って間を空けても良いと思います。勿論、書籍の様な縦書きの物なら空白は必要 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 素晴らしいと感じました。占いツクールではあまり見ない、硬い?文章ではないありましたが其れも魅力の一つだと思います。話の流れ、文の構成共に普段から小説を読み慣れている方には、よく合う物だと感じました。僭越ながら、アドバイスをさせて頂くと台詞と (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さなえ@Love伊織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sanaeEs/  
作成日時:2016年12月21日 8時

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