第キュウ話 ページ11
「………Aっ……!!」
今日だ。
儀式の時間まで、あと少し。
壁の隙間から漏れ出る赤い朱い、紅い光が、小屋を、床を、天井を、そしてワシ自身をも照らし出す。
A………
A……!!
会いたい……
会いたい……!!
その時だった。
乱暴な音を立て、扉が開かれた。
そこには、数人の村人が立っていた。
「出ろ。
儀式を見せてやる。
どうせお前も、いつかは同じ体験をするんだ。
見ておいて損は無い。」
そう言うと、無理矢理ワシを引きずり出し、儀式の台座へと引きずって行った。
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「村長様、酒呑童子を連れて来ました。」
村人の一人が進み出て、腰の低い村長に話しかける。
「うむ。
………それでは、始めるとするか。
……あの娘も連れて来い。」
村長が言うと、村人達に引っ張られ、
縄で縛られたAが連れて来られた。
「A…!!」
ワシの声に反応したのか、Aが驚いて顔を上げる。
「…っ、酒呑…!?どうしてここに…!?」
「この鬼も、いつかはお前と同じ経験をする。その時の為に、恐怖を覚えないよう、お前が
死 ぬ瞬間を見せるのだ。」
「…!?そんな…っ」
Aが絶望した様な表情を浮かべる。
ワシ達の表情には見向きもせず、儀式の準備は進んで行き、
遂に、その瞬間が来てしまった。
Aは、台座の上に立たされた。
台座の先には、暗い、奈落の底。
崖があった。
台座の上では、村長が空に向かって願いを叫び、村人が二人、Aを徐々に崖に向かって押していく。
「神よ!!今年も貴方にイケニエを捧げます……また、この村に、雨と豊作を与えて下さい……!!」
「やめろ…っ…!!やめろ!!」
ワシは村人達の腕を振り払おうと、腕を振り回そうとするが、全く動かない。
「やだっ!!いやだよっ!!
ねぇお願い、誰か助けてよ!!」
Aが喉を枯らして叫んでも、誰も、何もしない、言わない。
殺 してやりたくなった。
この場にいる、村人全員を。
ワシは必死にもがく。
Aを、死 なせてたまるか!!
しかし、ワシの行動は、無意味なものだった。
少しずつ、確実に、Aは崖に向かって落ちようとしている。
そして遂に
Aの体は、宙に浮いた。
「酒呑」
Aの、声がした。
見ると、Aは笑っていた。
群青色の瞳を爛々と光らせて。
口角を上げて。
鬼の様な笑みで。
そして、
『グシャッ』
何かが潰れた音が響いた。
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蓮花46猫 - 奈乃さん» 応援ありがとうございます!!頑張らせていただきます!! (2018年3月6日 22時) (レス) id: 2f47d31780 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 更新頑張ってくださいね! (2018年2月14日 21時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮花46猫 | 作成日時:2017年12月23日 20時