検索窓
今日:16 hit、昨日:14 hit、合計:44,379 hit

世間って狭い2 ページ8

ーKiyo Sideー



「ちょっと!離してっ…!」


目の前に男性に手首を掴まれ、
無理やり改札とは逆に引っ張られる女性。

まわりの人もみんな見ている。




なんだ?痴話喧嘩か?


俺も目をやりつつ
そのまま2人の横を過ぎ去ろうとした。




周りで見ている人達も

え?なに?喧嘩?

酔っ払いかな?

助けた方がいいんじゃない?


なんて口々に話していた。



もう少しで改札にカードをタッチする時、
女性の顔がハッキリと見えた。



え、昨日の…

そう。その女性は昨日レトさんと一緒にいた
Aさんだった。



彼女は掴まれている手首を握る手を
片方の手で必死に剥がそうと踠きながら
体重を後ろにかけ引きずられないようにしている。


それでも、ガッチリとした体格の男の前では
無駄な抵抗のようだ。



「ま、まわりも見てますからっ!
 会社の最寄りの駅で本当やめてっ…」



ズルズルと引きずられる彼女。


片方のヒールが力を入れ過ぎて脱げてしまった。


それでも男は気にも留めない。



今にも泣き出しそうな彼女を見た途端、
体が勝手に動いていた。




俺は落ちたヒールを拾い上げ、
握られている男の手に目掛けヒールのかかとを
思いっきり振り下ろした。




男「っつ…!」


男は驚いた顔で手を離し、俺を見る。


同時に彼女も俺を見た。


「あっ…」


涙をいっぱい溜めた彼女と目が合う。



キヨ「走るぞ。」


俺はそう言うと、
改札とは逆に彼女の手を握り走り出す。


「えっ、ちょっ!」


彼女も驚いていたが抵抗することなく、
俺の足に合わせて走っている。




男「おい!待て!お前誰だ!」

背中で男が叫んでいる。



え、俺結構やばいことしてない?

雨降る中、外に飛び出した俺は
少し先に停まっているタクシーに向かって
全力疾走する。
幸い、並んでる人もいなさそうだ。


振り返ると男も追いかけて来そうな勢いだ。

やばいやばいやばいやばい!

内心めちゃくちゃ焦りまくり。


そんな時、ゴンッと男の顔面に
ハイヒールが飛んでった。

もう片方の手で彼女が履いていたヒールを
投げていた。


周りで見ていた人達もいよいよヤバいと思ったのか
男を取り押さえてくれていた。


男はちがう!ちがう!と叫んでいる。



近くの交番におまわりさんを
呼びに行こうとしている人の姿もある。




俺たちはそのままタクシーに乗り込む。




運転手「どちらま…」


キ「とりあえず出してください!早く!」








.

世間って狭い3→←世間って狭い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
130人がお気に入り
設定タグ:キヨ , レトルト , 実況者
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yui(プロフ) - moonさん» ありがとうございます!そう言って頂けるととても嬉しいです! (2021年1月27日 9時) (レス) id: 6185ed1188 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - A Howaさん» バングルか!言葉が出て来ませんでしたwありがとうございます。 (2021年1月27日 9時) (レス) id: 6185ed1188 (このIDを非表示/違反報告)
moon(プロフ) - 終始ニヤニヤが止まらないです笑 (2021年1月26日 18時) (レス) id: d4aa8c24fc (このIDを非表示/違反報告)
A Howa - キヨさんが手首に着けているやつってバングルって言うらしいですね! (2021年1月16日 17時) (レス) id: 92e4f64a0f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:yui | 作成日時:2020年2月16日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。