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Aを掴む手を離したら、Aがそっと手首を擦りながら言った。
「どこ行くの?」
「……来々軒でラーメン食わせないと。Aが痩せ細ったらママが悲しむし」
ラーメンって言ったら、もう口の中はラーメンでいっぱいだ。夕方で腹ペコペコだもん。
「自分が食べたいだけでしょー?(笑)」
そう言いながらケラケラ笑うAに、苛つきながらもホッとする。
いやいや、ホッとしちゃいけない。ここは、憮然とした態度でいかないと!
「何笑ってんだよ。ムカつくな」
「だって、裕太が」
「……玉森君じゃねーの?」
玉森君って呼ばれた時、素直にショックだった。
そこらへんの男子と同じ括りになったみたいで、幼馴染みっていう垣根が取り壊されたような。
「もしかして、あれも嫌だった?玉森君…」
「…冴島さんって呼んだら嬉しいわけ?」
「あ。それ新鮮」
俺の気持ちなんて知らないAは、苗字で呼ばれて目を輝かせた。…冗談。
「本気で言ってんの?冴島さん、とか鳥肌しか立たないんだけど」
「実は私も。玉森君とか本当は言いたくない」
「っはぁ?じゃあ言うなよ。人目なんて気にしてバカバカしい」
そう言ったけど、一番バカバカしいのは俺だ。
Aの言動に一喜一憂して、振り回されちゃってる。
自分で自分が分からない。俺は一体どうしたいんだ。
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作者名:七子 | 作成日時:2017年12月17日 12時