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わなわなと手と唇が微かに震えていて、顔と耳が尋常じゃないくらいに真っ赤っか。オマケに目の縁にはぷっくりと真珠みたいな涙が浮かんでいる。

この十七年間で初めて見る表情に、喉の奥がギュッとして言葉に詰まってしまった。




「さいっ…てー…」




ぶわっと流れ出た滴が、たちまち頬を濡らす。

……涙。
それ、なんの涙??

こんな冗談、今までだってたくさんあった。あはははーって笑ったり、コノヤローって怒ったり。日常的にそんなことし合っていたのに。

一体その涙は、何?
その顔は……何なんだよ。



「待て、A。お前…」




「黙りやがれ、クソ森」




「クソ…もり」




「出てけバカ」




「ちょ、A…」




大泣きするAに、ベッドから引きずり下ろされた。

泣いて弱ってんのかと思いきや、すんげぇ力が働いてる。火事場の馬鹿力かよ。




「A、ごめんって」




「うっさい。消えて」





結構な馬鹿力で背中を押して部屋から追い出そうとしてくるけど、ナメないで欲しい。俺だって一応男の子なんです。

両足で踏ん張って何とか回避すると、胡座をかいてAの顔をじとーっと見た。





「何で泣いてんの?」





「…泣いてないし!目ぇ悪いんじゃないの?」




って言いながら、手の甲で目をゴシゴシ擦ってる。たった今さっきまで泣いてたのに、何だよそのシラの切り方は。ガキか。




「バカじゃね?誤魔化せると思ってる?」




俺の言葉に、背中を向けてだんまり。




「なぁ、何でそんなに泣いてんのって。理由言えよ」

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作者名:七子 | 作成日時:2017年12月17日 12時

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