今日、幼馴染みやめます 。【Yuta.T】

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「可愛いって言われて嬉しいの？」




「キモイって言われるよりは、いいんじゃない？」




「…そりゃそうだけど」




「学校なかなか疲れるから、いつもここで休憩すんの」




学校での裕太は、私が知ってる裕太とちょっと違う。

いつもニコニコして、背筋がシャンとして、王子様みたいな爽やかな空気を纏ってる。

玉森クーンと呼ばれれば、ハーイって大きな声で返事をして、きゃあきゃあ言われて満更でもなさそうに手を振って愛嬌をばさばさーって振り撒いて。

そんな人気者の裕太様が、部活帰りに私の家に寄ってから帰るなんて、皆が知ったらどう思うんだろう。

私のベッドで猫みたいに寝そべって、ゆるーい顔でリラックスしてる、なんてこと誰にも言えない。




「学校では、あんまり話しかけてこないでよ」




「はいはい、分かってますよー」




私の言葉に目も合わさずにそう応えると、すっくと立ち上がった。




「そろそろ帰ろ」




「はいはい、出口はあちらでーす！」




「…知ってまーす」




「お気を付けてお帰り下さいませー」




「ご心配ありがとうございまーす」




ふふって笑い合って、手を振った。




「見送りは？」




「え、めんど」




「…じゃあいいよ」




いじけた。

昔から見送りがないといじけるんだ。こーゆーとこは、まだまだ可愛い。




「仕方ないなぁ…ドアまでね」




ベッドから降りたら、嬉しそうに笑った。




「はい、ドア。バイバーイ」




「階段の一番下まで」




「…下までだよ」




「や、玄関まで」




「暗いから、そこが限界ね」




「うん」

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