白の漂流者2-3 ページ39
医務室からでて向かったのは彼の部屋だ。
彼があの時、何を言っていたのかわからない。けれど酷く辛そうな顔をしていて……ずっとやりたくも無い事をやらされていた自分と重ねて、彼の国の言葉で「嫌な事はさせない」と伝えた。
それが伝わらなかった。
彼の部屋の前に立ちノックをして声をかける。
……返事はない。
『…入ってもいいですか?』
「入るな」
ドアノブに手を掛けたところでやっと声が聞こえた。
手を離すと中から彼の声が聞こえる。けれどそれは和の国の言葉で、断片的にしか理解することが出来ない。
「……で……見たい…景色」
でも、彼が泣きそうなのは分かった。
それが私は悲しかった。
彼は私の話を理解しようと頑張ってくれている。私が笑うと少しだけ表情が柔らかくなる。彼は優しい人なんだ。そんな優しい人がこんなに傷付いている。
悔しくて、悲しくて…彼に泣いて欲しくなくて、八つ当たりのように扉を殴りつけた。
『…この国が貴方の国になるようにするから。絶対……そうなるようにするから!』
言い捨てるみたいに彼の部屋を後にした。
けど、いざ考えてみるとどうすればいいんだろう。
それに彼の言葉の意味もいまいち理解できていない……多分景色が見たい…そんな風なニュアンスだった。
「あれ?さっきの音ってもしかしてA?」
『わっ!……オスマン。脅かさないでよ』
"ごめんごめん"と笑いながらオスマンは謝る、あまり詫びのない態度に溜息を着く
そういえばオスマンの部屋は近くだったな…私も悪いことしちゃった。
『ごめん。うるさかったね』
「別にいいよ。」
さて、どうしたものか……また考え込むと隣からクスクスと笑う声が聞こえた。
「Aはさ。桜って知ってる?」
『……桜?』
「和の国の国花」
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きむち鍋(プロフ) - 紫さん» コメントありがとうございます。セリフ調になっているのがとても可愛らしいですね! (2020年12月30日 18時) (レス) id: 4e029fbece (このIDを非表示/違反報告)
紫 - os 「続きが気になるめう〜」gL「頑張ってくれ!」紫『面白かったです♪、、、せーの』「「『これからも宜しくお願いします!』」」 (2020年5月9日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
きむち鍋(プロフ) - ノリシロさん» コメントありがとうございます! こういったジャンルは初めてですので至らぬ点もありますが、のんびりと更新させていきますので、ゆったり楽しんでいただけたら幸いです! (2019年2月25日 11時) (レス) id: 82753cc095 (このIDを非表示/違反報告)
ノリシロ(プロフ) - 設定や一つひとつの表現に人物たちの感情が滲んでいる感じがしてすごく好きです!!
更新楽しみにしてます、頑張って下さい! (2019年2月24日 14時) (携帯から) (レス) id: 2e9ea22d03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きむち鍋 | 作成日時:2018年8月28日 20時