６０日目. ページ10
_Noside_
薄暗い路地裏にコツコツとヒールを鳴らす音が響く
わざとらしいその音は少しずつ近くなってくる
それと同時に鼻を覆いたくなるほどの甘い匂いが風に乗って流れてくる
「探したぞクソ女」
「勝己君から来てくれるなんて凄く嬉しいわ」
落書きだらけの壁に寄りかかり女を睨んだ
弧を描くその口には真っ赤なリップ
「てめぇだろ、プールの時Aの足引っ張ったのは」
「…なんの事？話が見えないわね」
勝己は怒りを抑え、ゆらりと歩き出す
「…てめぇがどこで何しようがなんでもいいけどよぉ…」
歩きながら掌の上でバチバチと火花を散らせ女の顔の壁を殴った
大きな爆発音と共に脆い壁が粉々に砕ける
「Aに手ぇ出したら殺すぞ」
目が据わって怒りが頂点に達している事が明白だった
暗がりの中赤い目が反射で光る
「…ヒーローが脅迫を、ねぇ…
怖いわ…」
「てめぇ殺してA守れるならヒーローなんざどうでもいいわ」
低く、誰もが聞いた事もない声で女に言った
ゆっくりと壁から手を離し路地裏から去っていく
パラパラと破片が落ちる音がして女は冷や汗を流し深い息を吐いた
「野蛮な人…もうすぐなのに…ね？」
それでも女の笑みは消えず、勝ち誇ったように建物の隙間から見える蒼天を仰いだ
それは４日前の出来事_____
『…あの、話って…？』
事故に遭う一瞬だけ見た顔なんてAは覚えていなかった
それを知った上で呼び出し、後ろから大柄の男がAを掴む
『え…？』
状況が掴めないAをみてクスクスと笑い腕を組む
『…勝己君に不倫されて辛かったよね？
だから今度は貴方が彼を苦しませる番だと思わない？』
『なに…言ってるんですか』
言ってる事が理解出来ず混乱する
さっきから感じる違和感に吐き気を覚えた
『まぁ初めまして、だよね
私が勝己の不倫相手だったのよ』
頭を金槌で殴られたように痛い
目の前の金髪の女が何故今自分にそんなことを言うのか
まだ、未練があるのか…動揺が隠せない
『…言っとくけど私はあの人好きじゃないから
ただ、許せないだけ…ヒーローのくせに誰も助けられない弱い人よ』
『そんな事ない…！！勝己はかっこいいヒーローだもん！』
馬鹿にされるのが許せず1歩前へでて叫ぶ
だけどすぐに後ろの男から引っ張られ下がる事に。
『どうでもいい…ただ不幸になればいい』
その女はゆっくりと話し始める
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リオン(プロフ) - あまねさん» 神作すぎます！私もめちゃ見るの遅くて仲間です笑 (4月3日 15時) (
レス) @page31 id: 65a52228d3 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - めちゃ好きです！完結おめでとうございました！（遅い） (3月30日 20時) (レス) @page31 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
まなみ(プロフ) - 最初の転の時点で予想以上の胸糞案件で正直驚きました。笑 謎や問題は沢山残ってるし現実的に考えれば完全に元に戻る事はきっと叶わない。…のだろうけれど、それでもこれから先…良い事が多くあって欲しいな！と想像で上げていきたいと思います！笑 お疲れ様でした！ (2023年3月1日 1時) (レス) @page31 id: 33510eeae8 (このIDを非表示/違反報告)
ここみ(プロフ) - もうほんとにめちゃくちゃ泣きました。大号泣です。本当に物語の構成が素敵だしなにより内容が最高すぎました。 (2021年11月6日 21時) (レス) @page31 id: 80d266a3aa (このIDを非表示/違反報告)
雨水(プロフ) - 舞う猫さん» え、本当ですか！？嬉しいです……！！ぜひやりましょう！！！！ (2021年10月24日 22時) (レス) id: 536b47677f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：舞う猫 | 作成日時：2021年10月10日 18時
