22話 ページ24
「よし、帰ろうか!」
あれから店を後にした2人は、転校生の家に向かって歩いていた。
「A先輩は、どうして休学してたんですか?」
「あ、放送聞いてたんだ?」
静かな住宅街に、2人の靴音が響く。
そんな中、小さい声で転校生はAに尋ねてみた。
少々失礼かとも思ったが、彼は気にする様子もなく笑顔を向けている。
「ちょっと昔、失敗してね。
身体も壊しちゃって、学校に居られなくなったんだ。
……そんな奴が昔はいっぱいいたんだよってことだけ、転校生ちゃんは知っててくれれば良いからさ」
気にしないで、と笑うAに転校生は
どこか哀愁を感じる。
ただ、そう言われてしまえば返事はひとつしかなかった。
「そーいえば、転校生ちゃんの家はこの辺りなの?」
「あ、はい。先輩はどこに住んでるんですか?」
「ボクはねー、もうちょっと先のマンションだよ。
駅近くに大きいマンションあるでしょ?
あそこに1人で住んでるんだ」
「1人で?ご両親は……」
転校生はそこまで言いかけると、さすがに不味いと思ったのか口を閉ざした。
「実家から夢ノ咲学院がちょっと遠いから、
ボクだけこっちに来てるだけだよ。
転校生ちゃんが心配してるようなことは
ないから安心してね」
と、安心させてAは軽く欠伸をした。
しばらくして転校生があそこです、と一軒家を指さす。
本当に駅に近いようだった。
「送っていただいてありがとうございました」
「いーえ。あ、そうだ明日の放課後、
転校生ちゃんもおいでね。
アイドルのことも勉強しなきゃでしょ?」
「あ、はい。分かりました」
じゃーね、と手を振りAは帰路へと着くのだった。
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作者名:GISELe | 作者ホームページ:後日専用ホムペを作成予定
作成日時:2018年12月20日 16時