ニセモノが4人 ページ5
「席はあそこだ。
おい、高橋ちゃんと色々教えてやれよ」
突然名前を呼ばれ肩をビクつかせる。
何事かと思えば転校生は
俺の隣の席に座るようだ。
近くで見ると尚更
あの子に似ている気がする。
パッチリとした二重に小さな唇、
微かに赤く色づいた頬。
手元の画像と見比べても本人じゃないかと
疑われるほどに似ていた。
「そんなに私、誰かに似ている?」
「あ、えと、まぁ」
何でこんな返事しかできねぇんだ、俺は。
絶望的なコミュ障だから、
と理由をこじつけてみる。
この話はやめだ。
今度こそちゃんと自己紹介をしないと。
「俺は高橋翔。分からにゃいことが…あ…」
噛んだー!
俺は失態を犯してしまった。
かっこよく決めてやろうと思った矢先に
こうなるのかよ。
俺のリアルSAN値削っていくんじゃねぇ……
「高橋くんだね。うんちゃんと覚えたよ。
宜しくね」
Aはニコリと笑って俺の失態を
スルーした。
あぁありがとう。
普通ならきっと冷たい視線が突き刺さるはずなのに、この子はなんて優しいんだろう。
そうやって感動していた為だろうか、
彼女の口元が怪しく
弧を描いたことには
全く気づかなかった。
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:漆零 | 作者ホームページ:後日専用ホムペを作成予定
作成日時:2017年12月28日 0時