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289話 ページ43

「あなた達ってなんだか楽しそうね」

そう言いながらミシアは私達を食堂に案内した。

そこは明るくて綺麗な部屋で、壁には地図が貼ってあった。

私達が地理で使うようなものではなく、イラストで描かれた遊園地にあるような地図。

中にはこの館も書きこまれている。

「これがシンデレラ特急の線路」

そう言いながらミシアは土地をグルッと取り囲んでいる線路を指さした。

「シンデレラ特急はうちの敷地内をグルッと走って、街を通りすぎてこの城まで行くようになっているの」

ミシアの指は敷地の南の方にある城を指す。

まるで中世の古城のようなムードの城だった。

「古く見えるように造ってあるけれど、ラングが建てさせた城よ。ここで私がモデルをしてラングは絵を描いたの。その後は私にプレゼントしてくれたのよ。だから自由に使ってるの。尖塔が高くてどこからでも見えるから、町の人達は[シンデレうの城]って呼んでいるわ。ここがシンデレラ特急の終点で、また街を通ってうちの敷地内を1周して、この家に戻ってくるようになってるの」

確かわざわざ線路をそこまで伸ばした、と言っていたな。

ということはそれなりの頻度で行っているのだろう。

…そこに何かあるのかもしれない。

「一度乗せてください」

若武君がそう言ったのを、立花さんが通訳する。

「事件が起こった現場は見ておいた方がいいと思うので」

それは確かにそうだが、乗ってみたいというのもあるんだろうな。

ミシアはあっさりと頷いた。

「いいわよ。シンデレラ特急はこの塔で管理しているの」

そう言いながらミシアはこの館の端にある塔を指さした。

「いつもはコンピュータ制御で無人で動いているんだけれど、ここにコントロール室があって緊急時には発進や停止、スピードの切り換えなんかを手動でできるのよ」

男の子達はすっかり感心した様子だった。

「コントロール室も見せてください」

若武君はかなりご機嫌。

男の子って乗り物好きよね。

「この地図で見ると」

黒木君が言った。

「街には駅がいくつかあるけれど、この家の傍にはありませんね。あなた方はどうやって乗っているんですか」

ミンアは可笑しそうに笑った。

「それはね」

部屋の隅まで歩いていき、そこにあったドアを開ける。

その向こうはベランダになっていて、そこに線路が敷いてあった。

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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時

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