259話黒木side ページ13
その中は山本の部屋とはまた違った、コバルトグリーンのお姫様の部屋のような一室だった。
中央にあるベッドも天蓋つきで、そのレースカーテンは閉じられている。
サイドテーブルに置かれた加湿器が、絶えず蒸気を出している。
ベッドに走り寄りサイドのカーテンを勢いよく開けると、山本と同じく頭に包帯を巻いた桜田が眠っていた。
真っ白なネグリジェに包まれて柔らかそうなベッドで安らかに眠るその姿は、不謹慎にも美しかった。
「黒木どうした…って、何で桜田が！」
「桜田さん大丈夫？！」
二人の叫び声に反応したのか、ゆっくりと灰色の瞳が現れる。
だるそうに顔を動かし、その目が俺を捉えた。
『くろ、き…くん？』
その目はまだとろんとしており、目覚めの悪くない桜田にしては異常だった。
ベッドに手をつき、顔を近づける。
「そうだよ。体、どこかおかしいところはある？」
『なんだか…すごく、ねむい…』
そう言いながら、俺の手の上にゆっくりとその手を動かした。
『おねがい…あのひとをせめないで…あのひとはさびしい、だけだから…あなたならきっと、あのひとのあなを、うめられる…』
それだけ言って、また眠ってしまった。
「おい。山本が目を覚ましたぜ」
上杉の言葉にカーテンを閉め、ひとまず山本の部屋に戻る。
ベッドから身を起こした山本が、傍にいた吉野に手を伸ばし縋りついていた。
「助けてくれ。殺.される」
怯えた顔つきだった。
俺はアーヤとと顔を見合わせた。
この空間を見た感じではにわかには信じがたい。
「しっかりしろよ、山本。考えすぎだよ」
吉野が笑いながら言った。
「お前充分元気じゃないか。暫く見なかったけど、前より太ったみたいだぞ」
山本は必死の形相で首を横に振った。
「あのババア、最初俺の頭を殴った後、つきっきりで看病してくれたけど、俺のケガが治りそうになるとまた殴ったんだ。それだけじゃない。妙な薬草を飲まされて、俺の体調が悪くなるとすごく熱心に看病してくれるけど、治るとまた飲ませるんだ。このままじゃ今に殺.される」
上杉が目を見開き呟いた。
「MSBPか。まいったな…」
アーヤは訳がわからないといったように上杉を見た。
目が合うと、上杉は苛立ったように舌打ちをした。
「代理ミュンヒハウゼン症候群だよ」
アーヤは横を向いたが、わかってないだろうな。
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます！次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします！ (2019年12月6日 7時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません！繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます！駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください！ (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます！ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年11月30日 15時
