249話黒木side ページ3
まずキッチンに向かうと、男物の服と下着が置かれていた。
綺麗に畳まれてあり、洗濯済みということは一目でわかる。
そしてキッチンの中央の床に切れ目を見つけた。
収納庫のフタよりは大きく、人が充分入れる大きさだ。
隅にある取っ手を起こし開けてみると、大きな穴になっていた。
手を入れてみるとどうやら階段になっているらしい。
下りていくには今は時間がないから、元通りに閉めておく。
次に洗面所に行くと洗濯機が置かれてあり、中を覗く。
すると中には昨日、桜田が着ていた服が入っていた。
なぜ桜田の服があるんだ。
ここに来たとしても、服を脱ぐことなんて無い。
何かあったのか。
若武が落ちつかなかったのもそれが関係しているのか。
顔から血の気が引くのを感じていると、この家の電話が鳴り響いた。
気づかれないようそっと近づき、内容を盗み聞く。
受話器を置いた小梅さんとはち合わせないよう、もう一度洗面所に戻る。
そして洗面所を更に調べてみると、今度は桜田のシュシュが出てきた。
初めて見た時に褒めたら嬉しそうに言っていた。
『シュシュはあまり着けないんだけどね。母さんからのプレゼントだからたまに着けているの。似合ってるならよかったわ』
桜田がここで何かあったことが裏付けられてしまった。
俺が戻ると小梅さんが出ていくとこで、俺達は全員で小梅さんを見送った。
そして再び2階に上がり、ワッフルの前に座り直した。
「よし、今度こそしこたま食べるぞ」
若武が宣言するように言い、開いた口にワッフル1個を全部突っ込んだ。
「ん、うめ。」
顔の形が変わるほど頬ばっている若武を、アーヤが睨みつける。
「一口に食べないでよ、ガキ」
若武は目を見開いてアーヤを見た。
「何怒ってんだよ。お前の分食べたわけじゃないだろ」
そういうことじゃないと思うけど。
注意深く若武を観察してみるが、目の前のお菓子に夢中で変わったところは見受けられない。
桜田がここに来たかもしれないということは知らないのか…?
上杉が紅茶を飲みながらカップの縁越しに俺を見る。
「黒木、ほんとに手を洗ってたわけじゃないだろ。何してたんだ」
やっぱ上杉先生にはバレバレか。
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時