35話 ページ20
『その2つが払拭されない限り、本当の真相は掴めないと思っていたの。それでも自ら行動することで本当の真相にたどり着いた。少し皆を侮っていたわ。ごめんなさい』
若武君は笑顔を浮かべた。
「もういいさ。先入観があったってのも本当のことだしな」
話が一段落ついたところで、黒木君が立ち上がった。
「小塚が記念写真を撮ろうってさ」
「お、いいじゃん」
そう言って若武君は警察署の看板の傍に歩み寄りながら、両手で髪を搔き上げた。
小塚君が出入り口に立っていた警官にシャッターを頼んでいる。
「警察に呼びつけられた記念か」
上杉君が諦めたような声で言って立ち上がり、皆の列に加わる。
私も最後に空いていた黒木君と小塚君の間に入る。
「じゃ、撮るよ」
フラッシュが光る。
「どうもありがとうございましたっ！」
元気よく言って若武君が頭を下げ、カメラを返してもらいに走っていった。
私はそのタイミングで小塚君に話しかけた。
『小塚君、今回は本当にお疲れ様。大変だったでしょう』
「まあね。でも楽しかったよ」
そういう小塚君の顔は、本当に誇らしそうだった。
『そんな小塚君ささやかなプレゼントがあるのよ』
私は小さなメモを小塚君に渡した。
「これアドレスと電話番号？一体誰の？」
『高柳真人君よ。本人からは承諾済み。あなたの実験を見破った子がいるって話したら、ぜひ話してみたいって』
小塚君はとても嬉しそうに笑った。
若武君が、遠くで声を張り上げた。
「やめっ！ほんとはもっと後で言おうと思ってたんだけど、いいや。俺んちの親、ニューヨーク社に転勤するんだ。俺も行く」
皆が一斉にに口をつぐみ、若武君を振り返った。
若武君はいつものように両手をハーフパンツの後ろポケットに突っ込みながら、皆に歩みよった。
そして、満足したようにクスッと笑った。
…まるでいたずらが成功した子どものように。
「という予定だったんだけど止めた。俺は残る。で、父親の書斎があくんだ。そこをリサーチ事務所のスペースとして提供しよう。俺達は、毎週そこに集まって探偵の仕事をする。せめてテレビに出られるぐらいの事件にぶつかるまで頑張るんだ。どうだい？」
やっぱりね。
若武君は完全に皆の注目を集め、主役をキメたのだった。
でも誰も何の文句も言わなかった。
皆次々と口を開いて答えた。
「オッケー」
「凄いや」
「ま、いいか」
『付き合うわよ』
中学生活に探偵チーム…忙しくなりそうね。
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます！しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします！ (2020年8月14日 22時) (
レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます！夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします！ (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年8月29日 18時
