2話 ページ4
「紹介するぞ。端から上杉和典。クラスは三谷C。算数の天才で、皆からは[数の上杉]って呼ばれてる」
その子は縁無しの眼鏡をかけ、色白で茶色っぽい髪をしている。
華奢な感じだけれど、眼鏡の向こうの目は涼しげで、切れ上がっている。
秀明のサッカーチーム[KZ]に入っているはずだ。
「隣が黒木貴和。クラスは三谷B。欠席が多くて、なかなかCには行けないところだ。実力は認められてるんだけどさ」
長めの黒髪、青く見えるほど澄んでいて、少し悲しげな感じのする目のとても綺麗な子だ。
この子もKZに入っていたはず。
その目が私達を見つめて、ふっと笑った。
…この子には何かありそう。
「次が小塚和彦。クラスは三谷C。[シャリの小塚]だ」
背は私と同じくらい、柔らかそうなおっとりとした子だ。
顔にはそばかすがあり、丸い鼻をしている。
立花さんの[シャリ]が分からないような様子を見て、モソッと言った。
「社会と理科のこと。三谷Cじゃそう言うんだ、他のクラスではリシャって言うけどさ」
丁寧な説明でやはり優しい子のようだ。
「最後が、三谷Bクラスの若武和臣」
黒髪で綺麗な目に長い睫毛をしていた。
この子はKZのトップ下の子ね。
「ウェーブの若武って言って波が激しいんだ。良い時は、三谷Cの連中も真っ青になるほど良いが、悪い時は受験Bすれすれさ。そうだよな、若武」
からかうように笑った先生の前で、その子は首を横に振った。
長い前髪の下で、涼しげな二つの目が強く光る。
「ひでえよ、先生。それって俺だけ貶してるじゃん。他の奴らのことは褒めてるのにさ。差別だ」
先生は笑いながら私と立花さんの肩に手を乗せた。
「お前らから見て右の子が立花彩、左の子が桜田Aだ。立花はクラスは受験Bだが、国語がバツグンにできる。桜田はクラスは三谷A。何故か本気を出そうとしない。本気になれば秀明どころか、全国模試でもトップをとれるだろう」
その説明に全員が驚いたようにこちらを見てくる。
前世の知識というハンデがあるのだから、当然と言ってしまえばそれまでだ。
私は今後も、本気を出す予定はない。
「やる気を出してくれたらと、ここに入ることになった。二人は今週から特別クラスに参加する。仲良くしろよ」
4人が真っ直ぐ立花さんと私を見た。
「これからは男だけのノリは止めるんだ。いいな」
つまらなそうなため息が、教室に広がった。
男社会に女が混じる。
早々に受け入れることは難しいらしい。
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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時