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19話 ページ21

今日作る予定のものは二つ。

どちらも単純なものだから、すぐに作り終えることが出来るだろう。

私は愛用しているツナギに着替え、作業に取りかかった。

※※※

特別クラスに戻ると、丁度立花さんと黒木君も戻ってきた。

ドアを開けると、真っ先に若武君の声が飛んできた。

「どうだった?」

教室の中には、もう上杉君と小塚君が戻ってきている。

「ダメ」

黒木君が、参ったといったように首を横に振ると、若武君は、悔しそうに鼻にシワを寄せた。

「ちっきしょう」

小塚君が、椅子の背にかけた足を揺らして言った。

「僕達もさ、てんでダメ。早退者はなし。欠席した先輩はいたんだけどさ。脚折って入院したばかりだって。先生にも聞いてみたんだけれど、秀明の先生が違反者の自転車を取り上げたって話は耳に入ってないって、もちろんそういう発表もない」

皆が、一斉に溜息をついた。

「となると、いよいよ単なる乗り逃げってことになって、捜査は暗礁に乗りあげるな」

若武君が、忌々しそうに言った。

「乗り逃げじゃ、通り魔と同じだ。犯人が特定できない。いるかどうかも分からない目撃者を見つけること以外に、手の打ちようもないって訳だ」

投げだすようなその声に、上杉君が慎重な声を重ねた。

「待てよ。乗り逃げってことは、通りかかってフラッとその気になったってことだろ。その程度でチェーンまで引き千切るかな。通りすがりにフラッとその気になる程度の奴は、ちょっと引っ張ってダメなら、それで諦めちまうような気がするけどな」

立花さんは頷き、

「それにあれは絶対、人間の力じゃ切れないチェーンだって兄が言ってた」

皆は一瞬立花さんの方を見て、揃って頷き合った。

「立花祐樹の言うことなら、信じる気になるよな」

「ん!」

「でも、それじゃ犯人が全然わかんなくなるよ」

小塚君がボヤいた。

「通りすがりの人間がチェーンを切る準備をしているはずはないしさ。となると、第1のセンも、第2も第3も第4もぜ〜んぶ、潰れるんだ」

「じゃ、やっぱり」

若武君が興奮した声で叫んだ。

「第5のセンだ。あのチャリの中には、宝石か設計図のマイクロフィルムが隠されてて、それを狙ったやつが計画的なトリックによってチェーンを切り、持ち去ったんだ」

黒木君が、片手で両目を覆って言った。

「小塚、こいつに早くロアルド・ダールを貸してやれよ」

その時、上杉君の腕から、ピピッと機械的な音が響き始めた。

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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時

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