18話 途中から和典SIDE ページ20
「先週のテストじゃ総合トップだった。東大の理三は確実だって、先生が言ってたぜ」
そうして皆で揃って立花さんのほうを向き、一斉に言った。
「お兄さんによろしく」
立花さんは勢いよく立ち上がり、教室を出ていった。
黒木君は立ちあがって、私達の方を向いた。
「俺が追うよ。そのまま調査に行くから後はよろしく」
そう言って出ていった。
上杉君も立ち上がり、私と小塚君を見つめた。
「俺達も行こう。まずは掲示板。何か発表が貼ってあるかもしれない。その後講師室に行って、欠席者や早退者について聞いてみよう」
私は立ちあがって言った。
『悪いけれど、私はパスで。やらなきゃいけないことがあるの』
上杉君は、しばらく私を見つめて
「…わかった。じゃあこっちは俺と小塚で行ってくる」
『ありがとう』
私はこれから一回家に戻り、昨日の夜考えた必要になりそうなものを作ることにした。
※※※
和典SIDE
桜田が教室を出ていき、俺達も掲示板に向かっていると、小塚が話しかけてきた。
「珍しいね。上杉が出会ってすぐの人を自由にさせるの、それも女の子を」
確かに普段の俺ならそんなことしないし、理由も聞いただろう。
桜田の何かがそうさせるのか?
でも、それってなんだ。
俺は桜田について思っていること、知っていることをあげていった。
灰色の瞳に黒い髪、俺達とは違う大人っぽい雰囲気、何かを抱えていそうな後ろ暗さ、最低限のことしか話さない警戒心。
そしてたまにする、ここではないどこかを見つめる目。
ああ、そうか。
あいつ、桜田は黒木に似ているんだ。
まるで数式の答えが出たときのように、その答えは胸に落ちてきた。
あいつは頭もいいし、ほかの女みたいに騒がしくないところも気に入ってる。
けどやっぱり気にかかるし、こいつなら大丈夫、そう思う大きな点は黒木に似ていると、どこかで感じていたからなんだろう。
「上杉?」
俺があまりにも無反応だったからか、小塚が不思議そうに振り向いた。
「…あいつなら、大丈夫。そう思うんだよ」
小塚は納得したような、してないような顔をした。
※※※
ASIDE
私の家には地下室が3つあり、それぞれが両親と私の作業部屋になっている。
私の部屋には工具や部品が大量に置かれ、大きな音が出ても大丈夫なように、完全防音となっている。
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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時