16話 ページ18
そう言って、黒木くんと立花さんは歩いていった。
二人が見えなくなって、私は強盗が入ったコンビニに行ってみた。
事件直後なのもあり閉まっていた。
コンビニに面する道は3方向にあり、一つはとても狭く車は通れない。
もう一つは広い道だが、車通りも人通りも多く、とても人目につく。
最後の、車が通れる人気のない道を歩いていくと、若武くんの自転車が停めてあった道へたどり着いた。
犯人は決まった。
秀明の前に戻ると10分ほどで、黒木くんが帰ってきた。
「お待たせ。じゃあ帰ろう」
しばらく歩いて、私は口を開いた。
『この後、なにするつもり?』
黒木くんは少し驚いたように私を見た。
『あなた程の人が、今夜このまま大人しくしているとは思えない。それだけのことよ』
黒木くんはふっと笑った。
「俺にはそれなりの数のコネがある。それを使って、あのリストの人物を潰していくよ」
それからは喋ることなく15分ほど歩いて、今度は黒木くんが話しかけてきた。
「この角を曲がって少ししたら、俺んちだけど、もしかして通りすぎた?」
『大丈夫よ。じゃあ、調査頑張って』
そう言い残して私が一人で歩きだすと、
「もしかして[通り道]って、俺のじゃなくって、桜田のってこと…?」
黒木君は鋭いわね。
『そうよ。大丈夫、多少武術をかじってるし、守られるほどか弱い女の子じゃないのよ、私』
…黒木君は少し目を見開いてから、面白そうに笑った。
「ほんと、いい性格してるよね」
私も彼に笑い返して彼が家に入ったのを見届けてから、ここから先の我が家への道を歩いた。
あくる日、全員が特別クラスに揃うと、若武君が勢いよく立ち上がって両手をハーフパンツの後ろポケットに突っ込みながら、私達を見回した。
「昨日の夜、いいことを思いついたんだ。新説だせ。しかも二つも」
得意そうに笑って、少しそり返る。
「なぜ俺のチャリが盗まれたか。昨日出ていたのは、三つの理由だ。第1、通りすがりの乗り逃げ、第2、恨みによる犯行、第3、先生や先輩の忠告。そして昨日の夜、俺が考えていた第4の理由は、例のコンビニ強盗が乗って逃げた。さらに第5の理由」
若武君の声は次第に低く、真面目になってきた。
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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時