15話 ページ17
古株3人は、またかといったような溜息をついた。
「リーダーシップを取る気なら、それなりの責任は持てよ」
「そうだ。俺の勉強時間は、確実に確保してくれ」
「僕が、お前と友達になったことを後悔するほどコキ使うのは、止めてほしい。若武って、いつもすっげぇ人使い荒いんだもの」
若武君はニンマリ笑って、両腕を広げた。
「わかった。確実にそうすると約束しよう。それでは、俺の部下の諸君、頑張ってくれ。健闘を祈る」
最後にサッと敬礼をした。
その後皆が帰る準備を始め、私も忘れ物を確認していると、黒木君から声がかかった。
「立花、桜田、遅いから送っていこうか?」
その言葉に立花さんは唖然とし、若武君と上杉君は呆然としている。
小塚君の目はこれ以上ないほど丸くなった。
私はとりあえず、黒木君に歩み寄る。
『あなたは、どこ方面なの?』
「俺は西小」
『じゃあ通り道ね。一緒に帰りましょう』
「了解」
そして黒木君は手早く自分のパーカーを引っかけると、片方の肩にバッグを担ぎ上げて、立花さんの腕を掴んだ。
「行こ。じゃ、お先に」
皆に言いながら、立花さん、私とともに足早に教室の外に出る。
「何て顔してんだよ」
立花さんは戸惑ったような、困惑したような顔をしていた。
「一人で帰れるわ。黒木君離して。私、一人で帰れるから。あなたの家の人だって心配してると思うし」
黒木君が足を止め、立花さんを振り返った。
「お前って、可愛くないね。俺が送るって言ってんだから、甘えてればいいじゃん。俺は男で、お前は女の子なんだから」
黒木君の考えはとても大人っぽい。
元々そういう性格なのか、彼の中にある[何か]がそうさせているのか…。
「それでも、どうしても送られたくないって言うのなら、止めるけどね」
黒木君は手をパンツの前ポケットに突っ込み、両方の踵をトンと床に打ちつけた。
「決めろよ」
立花さんは少し考えた後、言った。
「もし黒木君が構わないのなら、私、送ってもらいたい」
黒木くんは、ニヤッと笑った。
「よし、送ってやろう。来いよ」
秀明を出たところで、黒木君が立花さんに聞いた。
「立花は、どっち方面?」
立花さんが、指差した方は、黒木君と私の逆だった。
「どうしようか。桜田、一緒に来る?それとも待ってる?」
『ここで待ってるわ』
調べたいこともあるし。
「わかった。それじゃあ明るい所にいろよ」
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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時