13話 ページ15
「第1は、単なる乗り逃げ。第2は、若武に恨みを持ってる奴の嫌がらせ。第3は、生徒の規則違反を発見した秀明の教師、あるいは先輩が見せしめの為に隠した。以上だ」
鮮やかな推理に、皆が一瞬唸った。
冷静沈着、彼の思考は好ましい。
「先輩や先生を疑うの?」
小塚君がボソッと言うと、若武君がジロッと睨んだ。
「捜査に、感情は禁物だ」
「だって、先輩たちは、その時間だったらまだ授業終わってないだろ」
上杉君が首を横に振った。
「早退するってこともあるだろ。欠席とかもさ」
黒木君がふっと口を開いた。
「それなら話は簡単だ。今日、欠席および早退した先輩がいるかどうかを調べる。それから教師が取りあげたのなら、そのことについて秀明側からの発表があるはずだ。それを待てばいい」
立花さんが頷きながら発言した。
「第1のセンだけれど、あの場所って、あまり人が通らないところでしょう。お店も裏口ばかりだし。乗り逃げって、あまり考えられないような気がする」
すぐさま若武君が言った。
「それなら第2のセンだって薄いよ。俺があのマウンテン・バイクに乗ってきたのは、今日が初めてだぜ。あれが俺のだって知ってる奴は、ほとんどいないはずだもん」
それで捜査は行きづまってしまった。
皆が黙りこみ、少しして上杉君が言った。
「可能性が少ないとかあまり考えられないってぐらいで、捜査から外しちゃダメだ。確実にないものだけを取り除いていくんだ。もう一度初めから当たってみよう。立花、今までのところを黒板に纏めて書けよ」
立花さんは立ち上がり、黒板に歩み寄ってチョークを取った。
そしてしばらく考えてから、手早く書いていった。
1 単なる乗り逃げ
2 嫌がらせ
3 秀明の先生か、先輩の警告
欠席・早退者を調べる。秀明側の発表を待つ。
「オッケー。わかりやすい。まず第1のセンは、これは通り魔みたいなものだから、捜しようがない。あとで考えることにしよう」
立花さんが1番の下に、保留と書いた。
「次に2番。これは若武本人に聞いて、思い当たる連中を全員リストアップしてから、一人一人当たって絞っていくんだ。若武、名簿を作れよ。KZでお前がシュートを決めたときにセリ負けた奴とかさ、秀明や三谷大塚で、お前のせいでクラスに落ちしたライバルとか」
脇で黒木君が、囃し立てるようにつけ加えた。
「女のことで恨んでる奴とかさ」
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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時