11話 途中まで彩SIDE ページ13
日本人とは少し違う顔に、長い睫毛でとても綺麗。
少し強い風が吹いて、黒く長いポニーテールがサラサラと揺れる。
若武も黙って見つめている。
『…わかった。私もやるわ』
少し低いけれど、聞いてて心地いい声でそう言った。
緊張が途切れ、黒木君がふっと笑った。
「若武の勝ちだ」
隣で小塚君が、体中から力を抜いて言った。
「そうなると思ってたよ。だって若武って最後には絶対、自分の思い通りに人を動かしちまうんだもの。だから言ったんだ、人を唆す名人だってさ」
私は、若武を見た。
若武は両手をハーフパンツの後ろポケットにつっこんで、肩をそびやかし得意そうに笑っていた。
見つめることができないほど眩しく綺麗なその笑顔は、私を引っかけたときと同じものだった。
私は、半ば見とれ、半ばあきれて、そんな若武を見た。
若武は、また、その魔法で人を動かしたのだった。
※※※
ASIDE
「じゃ現場検証は、これで終わりだ」
ハデな言葉で言いながら、若武君は私たちを見まわした。
「次は、捜査会議だ。特別クラスを使おう。行くぞ」
先に立って颯爽と身を翻した若武君の後ろに、小塚君が続き、黒木君が続いた。
その後についていると、後ろの上杉君と立花さんの会話が聞こえた。
「きっと魔法なのよ」
「ああ、ピッタリかもしれない。理不尽でいい言葉だ」
…私が協力することにしたのは、私の意志だ。
上杉君と話している若武君を見て、危機感を持ったのだ。
若武くんはその先に目的があれば、危険な道も喜んで進んでいくだろう。
そしてその行動を周りが止めても、あの話術で言い包められてしまう。
いつか取り返しがつかない自体に陥るのではないか。
今の私は、前世ほど何かができるわけではない。
それでもこの子たちを守ることができたなら、少しは前世の贖罪になるのではないか、そう考えた。
それ以外にも、少しではあるけれど、私の本質に触れてきた若武君に興味も湧いてきたしね。
特別クラスに皆が揃うと、若武君が黒板に[マウンテン・バイク消え失せ事件]と書いた。
立花さんは、少し咳払いをして口を開いた。
「そこは、消失事件か、あるいは盗難事件とした方がいいわ」
若武君は、直ぐ様書き直した。
そっちの方がカッコいいと感じたんだろう。
「では、諸君」
…もう何も考えないでおこう。
「これについて考えてみようではないか」
そう言いながら、カタカタとチョークの音を立てて黒板に書く。
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百合香(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがすごくよく、本当に原作のような話の進み方が好きです!勉強になります……。これからも、応援してます! (2022年5月29日 16時) (レス) @page3 id: 26b82cca33 (このIDを非表示/違反報告)
トメ - きょっちーさん、はじめまして!トメと申します。きょっちーさんに感想を送るためにアカ作りました笑このシリーズがとても好きで感想を送りたいと思っているうちにしばらく浮上されなくなってしまったので、再開してくださってとっても嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年4月16日 13時) (レス) @page47 id: 702d0afd33 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - きょっちーさん、おひさしぶりです!もう浮上されないのかと思っていたのでとても嬉しいです!今までの書き方もよかったですが、今の書き方もいいですね!無理せず頑張ってください! (2022年4月7日 16時) (レス) id: bde42b2272 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!「おもしろい」と言ってもらえるのはとても嬉しいです。これからも読んで下さいね (2019年7月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - とてもおもしろいです。読むのが楽しみになっています! (2019年7月20日 14時) (レス) id: 6035a3040f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月11日 19時