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47話 ページ49

「鶴さん、主の言葉は気にしないでいいから。あの人もそういう事に関してはからきしだから」

「旦那、 もしかして‥」
何かを察した薬研が確信めいた顔で尋ねる。

「はっはっは、 なんだ鶴。
お主は恋してたのか?」
あっさり答えたのは三日月だった。

えっ‥ と、その場が凍りついた。

「こ、恋 だと。 俺がか?」
鶴丸は思いもよらなかったという顔を浮かべ
る。
「そうでなければ、本当に嫌いな相手に見限られた所でそれほどまでの苦しみは感じんだろう」

「た、確かに‥」
と、三日月の言葉に短刀達も納得する。

「つるまるはAのことが すきだったのですね。 しかたありませんね、さんじょうとして ごじょうのつるまるのてだすけをしてあげますよ」
「ははは、今剣、そうは言ってられんぞ。」
「そうだね。好きの反対は無関心とも言うし、今まさにそんな状態だ」
救いの今剣の言葉の後に思い一撃をくらわせた、岩融と石切丸。
先程から三条派の発言が厳しい。

「と、とにかく!まずは謝って誤解を解かなきゃ!」
「そうですぞ。誠意を見せるのです」
「まぁ、落ち着け。鶴丸も茶を飲むか?」
「ちょっと鶯丸さんは黙ってて下さい。今お茶をご用意致しますから」
「あぁ、頼んだぞ平野」
「ねぇ、鶴丸さんはどんな所に惚れたの?」
「それは俺っちも気になるな」
「ちょっと、今はそれよりも解決策を‥
て、鶴さん?」

燭台切は黙り込む鶴丸を見つめた。
「…俺が…」

どこに惹かれたのかと言われれば、
それは彼女の気高さだろうか。
初日に下手なことをするな と釘をさすつもりで声をかけた。しかし彼女は鶴丸達の厳しい物言いに屈しなかった。

一人でも ひたむきに努力している姿に次第に感心していったのは事実だ。それは他の刀達も同じだろう。

万屋で見せた涙や他所の鶴丸に向けていた笑顔に動揺したのも事実だ。
涙もそうだが、この本丸で彼女があんなにも穏やかに微笑むことなど無かった。
審神者には笑顔を見せていたのかもしれないが鶴丸には当然だが一度もない。

呪いの剣だ。愛想もないし口も悪い。
憎たらしいと思っていたはずなのに。
あの笑顔を見た時、心に抱いたのは他所の鶴丸に対するとてつもない羨望だった。
これはまるで…。

知らぬ間につのらせていた思いは
自覚するのが遅すぎた。

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杏子メロンパン(プロフ) - ありがとうございます。そう言って貰えてとても嬉しいです。 (2019年6月22日 19時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
永遠の0 - やべぇ・・・・・・やべぇ←私の好みにドンピシャだぜぇ・・・・・!(*´∇`*)更新ファイト!(*≧∀≦*) (2019年6月22日 18時) (レス) id: bc7da5b929 (このIDを非表示/違反報告)
アズマ - この物語の少しシリアスな感じが好きです!これから影ながら応援させていただきます! (2019年6月22日 15時) (レス) id: 13ba803884 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - そらまるさん» コメントありがとうございます。励みになります。 (2019年6月22日 5時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
そらまる(プロフ) - 面白いです(^^)更新楽しみにしています(^^) (2019年6月22日 1時) (レス) id: 01606349cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月20日 18時

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