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9話 ページ9

何にも言えず、互いに無言の気まずい空気が流れ出した時、
調理場の扉がガラッと開いた。

「鶴さん達、ここで何してるの?」
現れたのは燭台切さんだった。
鶴丸さんを探していたのかもしれない。

「私がご飯を食べたいと言ってしまって。」
私がそう言うと燭台切さんはあからさまに困った顔をした。
やはりここにいるのはまずいのか。

「… バレたらどうするのさ。」
「…いざという時は俺が責任を取ろう。」

思いもよらない言葉に思わずえっ!と声が出る。どういうことだ。

「…鶴さん一人に押し付ける訳ないでしょ。僕も同罪なんだから。 いざという時は僕も…」
「ちょ、ちょっと待ってください。」
私は慌てて二人に制止をかけた。
まって、話についていけてない。

「せ、責任ってなんですか?もし、見つかればいい顔はされないとは思いますけど、何か罰が与えられるんですか?」
「まぁ、気に入らないことがあれば罰として単騎出陣とかはざらだよ。」

なんてこった。手入れがあまりされないことや無理な出陣を強制することは分かっていたが、審神者はそんなこともするのか。
ここまで隠れてきた以上、初めからいい顔をされないのは分かりきっている。
でも流石に単騎はまずい。折るつもりでさせるなら、疑われないようにわざと怪我したり、味方に説明したりと色々演技が面倒なのだ。

「それは、…困りましたね。皆さんにも更なる迷惑がかかりますし、私も単騎だと…」
「いや、君が単騎を強制されることはない。」
「え?」
「…審神者は女好きだ。」
「…は?」
淡々と鶴丸さんから発せられた言葉に思わず固まる。思わず変な声が出たが私は悪くない。
硬直した私に燭台切さんは首を傾げた。

「あれ?言わなかったっけ?」
「言ってません!」

聞いてない、聞いてないぞ。初耳だ。
本日二度目だが なんてこった と、頭を抱えてしまった。
勿論頭によぎったのはハニートラップというやつだ。変に侵入するよりそっちの方が確実だった。しかし、もう遅い。あえて姿を見せて他の方達だけに罰が与えられるとなると 刀剣達の恨みをかうかもしれない。
そうすれば、その後の行動がしにくくなる。
バレる危険が高まるのは避けたい。
我ながら自分の運を呪いたくなった。
本当にややこしい本丸に来てしまったものだ。

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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時

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