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43話 ページ43

ギラギラと私を見つめる瞳には昨日の様な
優しさや暖かさなんて微塵もない。

全てを聞いたのだと察した。
屋敷も騒がしく 何処だ! 探せ!などという声が聞こえる。
私を探しているのだ。

「… なぁ、君…。」

スラリと刀を抜いた鶴丸さんがまるで亡霊のように ゆっくり近づいてきた。

彼に背を向ければ、斬られる。彼の練度ならこの距離なんてあっという間だ。

「…良くやってくれたなぁ。…君は遡行軍だったのか?」

「……」


「答えないか。まぁ、今そこにいるのが答えだよなぁ」

「………」

「情報を奪う。俺達はそのついでか?目的が果たせれば君は出て行くつもりだったんだろう?」

「……」

「君の目に俺はどう映った? どんな思いで俺達に接してこれたんだ」

「………」

「何か言ったらどうだ?」

「何も言うことはありません。それが全てですから」

彼が一歩足を踏み出し、私は一歩後ろに下がった。
距離は変わらない。


「君は!俺がこの手で必ず殺す。 何処に逃げようとしてもだ!」

「…… 殺されるわけにはいかないんです」

彼に敵うとは思っていない。
せめてもの抵抗にと私も刀を抜いた。


「鶴さん!!! 」

その時、屋敷から聞こえてきた声に鶴丸さんが一瞬 そちらに意識を向けた。

私はその隙に走り出して開いていたゲートに飛び込む。


「‼ 待て!!!!」

伸ばされた手は髪の毛をすり抜けた。



何も掴めなかったその手を残して
ゲートの通信は途切れ、
私は光に包まれてその本丸から姿を消した。

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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時

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