39話 ページ39
私と鶴丸さんの間に何とも言えない空気が流れ出してしばらく経った頃、
ふと廊下から誰かがこちらに向かってくる気配を感じた。
私は反射的に身構えたが
鶴丸さんは大丈夫だと首を振る。
不思議に思い首を傾げると
「失礼致します」
という言葉と共にスパンと襖が開かれた。
そこに立っていたのは言わずもがな
一期さんである。
まさかこの人も聞きにきたのか?
言うつもりは無いが、はっきり言うと
彼の場合、追い返すのが面倒だ。
そんな思いを必死に顔に出さないように
していると、一期さんは部屋にいた私と鶴丸さんを見てあからさまに眉をひそめた。
「鶴丸殿もこちらにいらっしゃったのですか」
「…ん、まぁな。」
「私もご一緒させて貰っても?」
「…… 」
…何故だろう。いきなり空気が凍った気がする。
氷点下の世界に突然入り込んだようなそんな感覚を覚えて私は身震いした。
「私に何か用ですか?」
何も答えない鶴丸さんを横目に私は一期さんに尋ねる。
すると、一期さんは私に視線を向けて
はい。と頷いた。
「ですから、鶴丸殿は一度この場から退出していただきたいのですが」
「断る」
隣から今度は即座に否定の言葉が投げられる。
二人の間の異様な空気に私の頭にはクエスチョンマークが踊り狂った。
こんなに仲悪かった?
「…そうですか。では、出直します」
「……そうしてくれ」
嫌な空気の割にアッサリと引いていった一期さんに、冷や冷やとしていた私の心はホッと安堵した。
チラリと横目で鶴丸さんを見るとまだ険しい表情を浮かべている。
何か尋ねようと口を開く、…が
「厄介だな」
声が出る前に鶴丸さんが呟いて私は固まった。
え、何?
私が驚いて凝視していると鶴丸さんは視線をこちらに向ける。
「君、一期に何か……
いや、まぁ、惹かれるのも仕方はないか。」
「…? 」
「……君もタチが悪いな。」
…何故か勝手に自己完結された。
褒められている気はしないため、いきなりの貶しの言葉に私は驚きを隠せない。
「君には困ったもんだ」
呆れたような顔を浮かべる鶴丸さんに
私は眉をひそめた。
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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時