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13話 ページ13

「……そうですか。」
遠征か…。出陣とは違い戦う必要がないのなら、いざという時に利用できるかもしれない。
半年という期間もあるためどうやってここから出るのかも考えなければいけないのだ。
下手をすると足がついてこちらの本拠地がバレる。

「どうかしたか?」
黙り込んだ私の顔を鶴丸さんが覗き込んだ。
ん?と目線を上げると金色が視界に広がり
私はハッと目を見開いて退く。

顔が近い。

「…い、いえ、少し興味があるだけです」
慌ててそう言うと鶴丸さんは何故か苦い表情を浮かべた。これはいわゆる呆れ顔というやつである。

「君は意外と好奇心旺盛だよなぁ…」
「そうだね。僕は少し心配になるよ。」
「え…。」

燭台切さんにまで呆れたように言われて、
私は少し顔が引きつってしまった。

ーーー

片付けが済むと
「君はそろそろ戻った方がいいだろう。」
と、言われて また鶴丸さんの後を追い部屋に戻る。
誰もいないことを確認して障子を開けて部屋に入った。

「鶴丸さん、我儘をきいてくれて ありがとうございました。」

最低限のマナーとして御礼を述べ、頭を下げた。
新しい情報も手に入り、正直彼には感謝しかない。
何か返事が返ってくると思っていたのだが、
何にも言葉が降って来ず私は顔を上げて
不思議そうに彼を見つめた。

「…どうしました?」
「…いや。」

彼は後ろ首をかきながらどこか気まずそうな顔をしている。口を開いては閉じるを繰り返して、何か言うのを躊躇っている感じだった。

「…あのー」
「…… 俺も… いや、何でもない」
「?そうですか。」

私の頭の上のクエスチョンマークが一つ増えたが、無理に言わせる気もしないので深く触れないでおく。
鶴丸さんは私からスッと目を逸らして
足早に部屋を出て行ってしまった。


私が首を傾げたのは言うまでもない。

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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時

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