5話 ページ5
ここで素直に分かったと、頷くのも逆に怪しいと思い
「… ずっとですか?」
と、尋ねた。
「…… あぁ」
鶴丸さんの目には光が宿っていない。初めに私が現れたことに驚いて目を見開いたくらいで、ピクリとも表情筋を動かさなかった。
一体どんな目に会えばこんな風になるのだろうか。
「…… 分かりました…。もし、私に何か出来ることがあれば… 何か力になれるなら… おっしゃって下さい。」
「あぁ、分かった」
そっけなくそう答えて鶴丸さんは部屋を出て行った。
…… 足音が遠くなっていくのを聞いて
ようやく一人の空間になった事で、ふぅと息を吐く。
第一関門突破だ。
ガサゴソと服に忍ばせていた道具を確認する。盗聴器もろもろは 潜入にあたっては必要不可欠なものだ。
何もない部屋だが不審な所が無いか一通り押入れや床などを調べて、部屋の真ん中に座った。
最終目標は審神者のパソコンから機密データを盗むこと。それさえ出来れば任務完了。
期限は最低でも半年くらいか。
とにかく、数日は大人しくしていよう。
本格的に動き出すのはもう少し後からだ。
この本丸の状態をこの目で見て、そして彼等と少しは関わってからの方が動きやすいだろう。
怪我をした状態でも難なく遡行軍を倒しているのだから、私など刀を合わせれば敵うわけがない。
だからこそ、慎重かつ確実に動いて隙をうかがうのだ。
私は端末を操作するために押入れを開けて上段にのった。戸を閉じて真っ暗の中で起動させる。発せられるブルーライトが目を刺激している気がして目頭を一度ギュッと押さえて 操作し始めた。
ーーーーーーーーーーーーー
本丸に潜入成功。
訳ありらしく 審神者と契約することや政府に報告されることなく
滞在可能になりました。
政府のスパイの根回しは今のところ必要ありません。
また、進展があれば連絡します。
ーーーーーーーーーーーーー
必要最低限の情報をうち終えて送信する。
ブチっと電源を切って、そのまま冷たい押入れの中断板に寝転がった。
もっと緊張するかと思っていたが意外にも自分の心は落ち着いているらしい。
しばらくすれば色々と疲れが出てきたのか微睡み始めた。
そういえば、準備に追われてここ最近は寝れていなかったな。少し休むか。
私は目を閉じて意識を飛ばした。
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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時