4話 ページ4
「…うわぁ…」
聞いて驚き見て絶望、とはこの事である。
荒れ果てた本丸を前にして心の声が漏れる。
鶴丸さんから説明されたのは本丸の状態だった。もともと、審神者は横暴な性格であったが三日月宗近という刀を求め始めて更に拍車がかかったらしい。
今では本丸の空気は穢れ、 重傷や中傷の刀が沢山。しかし、審神者はひたすら鍛刀と出陣を繰り返している。
偶然とはいえとんでもない所に潜入してしまった。
「…まぁ、当然の反応だな」
隣からの声にビクッとしてしまう。
そうだ、こんな所でも鶴丸さんにとっては帰る場所なのだ。
大変失礼なことをしてしまった。
「こっちだ、見つかる前に早く」
少し離れた所から声をかけられ
先導する鶴丸さんの後を追う。
刀剣男士なんて皆 強くて輝いている存在だとばかり思っていたが
それだけでは無いのかもしれない。
白い装束が赤く汚れた背中を見ながら
そんなことを私は考えてしまった。
鶴丸さんに言われたことは二つ。
一つは審神者に見つからないこと。
二つ、一人で部屋から出ないこと。
これを言った時、彼等は申し訳なさそうな表情だったが、私にとっては好機である。
彼等は昼も夜も出陣だそうで、情報集めにはうってつけだし、偵察が得意な短刀達が負傷しているというのも 忍び込むには最高の状況だった。少し心が痛むけれど、敵である私には関係のないことだと、自分に言い聞かせた。
角に空き部屋があるということでそこに案内され、スパンと障子を開けて
「悪いが、ここで大人しくしていてくれ」
と言われたので私は恐る恐る中に足を踏み入れた。
当然、部屋には何もない。
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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時