40 ページ40
side you
『面白い話でも、深刻な話でもないですよ？』
興味があるのか、将又ないのか、
変わらない表情のまま開けたジュースから
二酸化炭素が溢れる音がした
本当に聞きたいのかとその瞳を覗き込めば
どうしたのとでもいうように
うっすら笑みを浮かべて小首を傾げる至さんに
引き下がる気はないんだと、
そう理解したわたしはゆっくりと唇を動かし始めた
『…ただ、行きたい高校がわたしの家からは遠くて
通うのにお金も時間もかかるって反対されてたんです
結局は親も納得してくれたんですけど、
住み込みでできるバイトを探そうって思って
見つけたのがこの劇団です』
「へー、」
興味のなさそうな返事のまま
至さんはふたたび首をかしげてこう言った
「でも、Aが来たのって
秋組の旗揚げ公演のときじゃなかったっけ？」
『……初めてここに来た時、団員が咲也君しかいなくて
仕事もなく寮を借りるのは気が引けたので
1ヶ月もしないうちに辞めてしまいました
だけどすぐ後に旗揚げ公演があることを知って
春組も夏組も見に行きました
その時に 咲也君に偶然会って
戻って来て欲しいって、言ってくれました
ただ純粋に嬉しくて、支配人さんに連絡しました
けど……』
そこにはいづみさんがいて、戻れないと思った
こんなこと、絶対に言えなかった
いつでもみんなに1番に思われてる彼女が羨ましいなんて
絶対、言えない
わたしにはどうすることもできないと逃げ出したくせに、
こんなに醜い感情を持つ自分が
とてつもなく嫌だった
今まで自分の話をするなんてしてこなかったのに
吐いて仕舞えばこんなにペラペラと口は進んで
至さん、きっと困ってる
どうしようと俯く私に至さんは言った
「けど？」
その声があまりにも優しくて、
『……わたし、辞めたくない』
気づけば本音が溢れ出ていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 977人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アリス - この作品大好きで、時々読み返してます。はるとくんと今後どうなるのか気になります。はるとくん好きなので、報われて欲しいと思ってます…。どんな結末でも更新待ってます！頑張ってください！ (2021年2月15日 22時) (
レス) id: 4833222af2 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - ねるねさん» 更新遅くなってしまい申し訳ありません！私事ではありますが受験が終わり落ち着いたところなのでこれから更新頑張りたいと思います！よろしくお願いいたします！ (2018年3月25日 23時) (レス) id: ad82b31cec (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - ハリ━━o(〇-〇 )さん» コメントとっても嬉しいです！ありがとうございます。更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いいたします！ (2018年3月25日 23時) (レス) id: ad82b31cec (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 深呼吸。さん» 嬉しいお言葉とても励みになります！ありがとうございます！これからも作品の方よろしくお願いいたします！ (2018年3月25日 23時) (レス) id: ad82b31cec (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 凛鈴さん» コメントありがとうございます！ゆっくりではありますが更新頑張りますね、これからもよろしくお願いいたします！ (2018年3月25日 23時) (レス) id: ad82b31cec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しずく | 作成日時：2017年9月23日 22時
